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2013年7月29日月曜日

【312】敬語表現最終回(ヒマがあれば覚えておきたい敬語一覧)


「 あそばす ( 遊ばす ) 」[ サ四 ]( ←「 為す 」の〔尊敬〕版 )
→『 (いろいろな動作を入れて)~なさる 』

「 あそばす ( 遊ばす ) 」[ サ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 お~なさる 』

「 あそばす ( 遊ばす ) 」[ サ四 ]( ←「 遊ぶ 」の〔尊敬〕版 )
→『 お楽しみになる 』

「 いでおはします ( 出で御座します ) 」[ サ四 ]( ←「 出で行く」,「出て来(く) 」の〔尊敬〕版 )
→『 出ていらっしゃる』,『おうまれになる 』

「 いでます ( 出で座す ) 」[ サ四 ]( ←「 出づ」,「行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる』,『おいでになる』,『おられる 』

「 いまさうず ( 坐さうず ) 」[ サ変 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 ~しておいでになる 』

「 いまさうず ( 坐さうず ) 」[ サ変 ]( ←「 あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる 』

「 います ( 坐す,在す ) 」[ サ変 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 (連用形,名詞+「て」に接続して)~しておいでになる 』

「 います ( 坐す,在す ) 」[ サ下二 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 (連用形に接続して)~ていらっしゃるようにさせる,~おいでにならせる 』

「 います ( 坐す,在す ) 」[ サ変 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる』,『おでかけになる』,『おいでになる 』

「 いますがり ( 在すがり ) 」[ ラ変 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 (連用形,〔断定〕の「なり」の連用形「に」+助詞「て」に接続して)~でいらっしゃる 』

「 いますがり ( 在すがり ) 」[ ラ変 ]( ←「 あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる 』

「 うけたまはる ( 承る ) 」[ ラ四 ]( ←「 受く」,「聞く 」の〔謙譲〕版 )
→『 いただく』,『うかがう』,『ご承諾申し上げる 』

「 えっす ( 謁す ) 」[ サ変 ]( ←「 会ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 お目にかかる 』

「 おしゃんす 」[ サ変 ]( ←「 言ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 おっしゃいます 』
(近世の上方語)

「 おしゃる ( 仰しゃる ) 」[ ラ下二 ]( ←「 言ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 おっしゃる 』

「 おしゃる ( 仰しゃる ) 」[ ラ四 ]( ←「 言ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 おっしゃる 』

「 おぢゃる 」[ ラ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 ~でいらっしゃる 』
(中世以降の言葉)

「 おぢゃる 」[ ラ四 ]( ←「 行く」,「来(く) 」の〔丁寧〕版 )
→『 いらっしゃる 』
(中世以降の言葉)

「 おぢゃる 」[ ラ四 ]( ←「 あり」,「居(を)り 」の〔尊敬〕版 )
→『 ございます 』
(中世以降の言葉)

「 おはさうず 御座さうず 」[ サ変 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 ~いらっしゃる』,『~でおいでになる 』

「 おはさうず 御座さうず 」[ サ変 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる』,『おでかけになる』,『おいでになる 』 (主語は複数)

「 おはさふ ( 御座さふ ) 」[ ハ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 ~していらっしゃる 』

「 おはさふ ( 御座さふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる』,『おいでになる 』

「 おはしあふ ( 御座し合ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 ゐ合ふ」,「来合ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 居合わせていらっしゃる 』

「 おはしまさふ ( 御座しまさふ ) 」[ ハ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 ~していらっしゃる 』
(主語は複数・「おはしあふ」<「おはしましあふ」)

「 おはしまさふ ( 御座しまさふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる』,『おいでになる 』 (主語は複数)

「 おはしましあふ ( 御座しまし合ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる』,『おいでになる 』 (主語は複数)

「 おはしましつく ( 御座しまし着く ) 」[ ハ四 ]( ←「 行き着く」,「ゐつく 」の〔尊敬〕版 )
→『 ご到着になる』,『ご滞在になる 』

「 おはします ( 御座します ) 」[ サ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 (連用形,〔断定〕の「なり」の連用形「に」+助詞「て」に接続して)~でいらっしゃる 』

「 おはします ( 御座します ) 」[ サ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる』,『おいでになる 』

「 おはす ( 御座す ) 」[ サ変 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 (連用形,〔断定〕の「なり」の連用形「に」+助詞「て」に接続して)~でいらっしゃる 』

「 おはす ( 御座す ) 」[ サ変 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる』,『おいでになる 』

「 おほす ( 仰す ) 」[ サ下二 ]( ←「 言ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 おっしゃる』,『言いつける 』

「 おほせいたす ( 仰せ出だす ) 」[ サ四 ]( ←「 言ひ出だす 」の〔尊敬〕版 )
→『 ご命令になる 』

「 おほせくだす ( 仰せ下す ) 」[ サ四 ]( ←「 言ひ下す 」の〔尊敬〕版 )
→『 ご命令になる 』

「 おほせつく ( 仰せ付く ) 」[ カ下二 ]( ←「 言ひ付く 」の〔尊敬〕版 )
→『 ご命令になる 』

「 おほとなぶらまゐる(←おおとのあぶらまゐる) ( 大殿油参る ) 」[ ラ四 ]( ←「 ・・・ 」の〔尊敬〕版 )
→『 御殿の灯火をおつけになる 』

「 おほとのごもる ( 大殿籠る ) 」[ ラ四 ]( ←「 寝(ぬ) 」の〔尊敬〕版 )
→『 おやすみになる 』

「 おほまします ( 大座します ) 」[ サ四 ]( ←「 あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 おいでになられる 』

「 およる ( 御寝る ) 」[ ラ四 ]( ←「 寝(ぬ) 」の〔尊敬〕版 )
→『 おやすみになる 』

「 おりゃる 」[ ラ四 ]( 補助動詞〔丁寧〕,補助動詞〔尊敬〕
→『 ~でいらっしゃる』,『~でございます 』

「 おりゃる 」[ ラ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる』,『おいでになる』,『おられる 』

「 ぎょしんなる ( 御寝成る ) 」[ ラ四 ]( ←「 寝(ぬ) 」の〔尊敬〕版 )
→『 おやすみになる 』

「 くださる 」[ 連語 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 (連用形,連用形+「て」に接続して)~くださる 』

「 くださる 」[ 連語 ]( ←「 もらふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 いただく 』

「 くださる 」[ 連語 ]( ←「 与ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 お与えになる 』

「 けいす ( 啓す ) 」[ サ変 ]( ←「 言ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 申し上げる 』

「 けす ( 着す,著す ) 」[ サ四 ]( ←「 着る 」の〔尊敬〕版 )
→『 お召しになる 』
→(上代語)

「 けんず ( 献ず ) 」[ サ変 ]( ←「 与ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 差し上げる』,『献上する 』

「 ごんす 」[ サ変 ]( 補助動詞〔丁寧〕
→『 ~であります』,『~でございます 』

「 ごんす 」[ サ変 ]( ←「 来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる』,『ございます 』
(敬意は低い)

「 こうず ( 薨ず ) 」[ サ変 ]( ←「 死ぬ 」の〔尊敬〕版 )
→『 おなくなりになる 』
(三位以上の人への敬意)

「 こざあり ( 御座有り ) 」[ ラ変 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 ~でいらっしゃる 』

「 こざあり ( 御座有り ) 」[ ラ変 ]( ←「 あり」,「居(を)り 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる』,『おいでになる 』

「 ござさうらふ ( 御座候ふ ) 」[ ハ四 ]( 補助動詞〔丁寧〕
→『 ~でいらっしゃいます 』

「 ござさうらふ ( 御座候ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 あり」,「居(を)り 」の〔丁寧〕版 )
→『 いらっしゃいます』,『ございます 』

「 ござる 」[ ラ四 ]( 補助動詞〔丁寧〕
→『 ~であります』,『~でございます 』

「 ござる 」[ ラ四 ]( ←「 あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 あります』,『ございます 』

「 ござる 」[ ラ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「居る 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる 』

「 こやす ( 臥やす ) 」[ サ四 ]( ←「 臥ゆ(こゆ) 」の〔尊敬〕版 )
→『 横におなりになる 』
(死者が横たわっていることについて婉曲表現として使うことが多い)

「 ごらんじあはす ( 御覧じ合はす ) 」[ サ下二 ]( ←「 見合わす 」の〔尊敬〕版 )
→『 目をお向けになる 』

「 ごらんじいる ( 御覧じ入る ) 」[ サ下二 ]( ←「 見入る 」の〔尊敬〕版 )
→『 注意して御覧になる』,『心にとめてお世話なさる』,『召し上がる 』

「 ごらんじしる ( 御覧じ知る ) 」[ ラ四 ]( ←「 見知る 」の〔尊敬〕版 )
→『 御覧になっておわかりになる 』

「 ごらんじつく ( 御覧じ付く ) 」[ カ下二 ]( ←「 見付く 」の〔尊敬〕版 )
→『 お見つけになる』,『目におとめになる 』

「 ごらんじつく ( 御覧じ付く ) 」[ カ四 ]( ←「 見付く 」の〔尊敬〕版 )
→『 見慣れていらっしゃる 』

「 ごらんじとがむ ( 御覧じ咎む ) 」[ マ下二 ]( ←「 見咎む 」の〔尊敬〕版 )
→『 見てお気づきになる』,『見咎めなさる 』

「 ごらんじはつ ( 御覧じ果つ ) 」[ タ下二 ]( ←「 見果つ 」の〔尊敬〕版 )
→『 最後までお見届けになる』,『残らず御覧になる 』

「 ごらんじゆるす ( 御覧じ許す ) 」[ サ四 ]( ←「 見許す 」の〔尊敬〕版 )
→『 大目に見なさる』,『お見逃しになる 』

「 ごらんず ( 御覧ず ) 」[ サ変 ]( ←「 見る 」の〔尊敬〕版 )
→『 御覧になる 』

「 さします 」[ サ四 ]( ←「 為す 」の〔尊敬〕版 )
→『 なさる 』

「 させたまふ ( させ給ふ ) 」[ 連語 ]( ←「 「さす」〔使役〕+補助動詞「給ふ」 )
→『 ~おさせになる 』

「 させたまふ ( させ給ふ ) 」[ 連語 ]( ←「 「さす」〔尊敬〕+補助動詞「給ふ」 )
→『 お~になる 』 (非常に高い尊敬)

「 さっしやる 」[ 特殊 ]( ←「 為す 」の〔尊敬〕版 )
→『 なさる 』
(サ変動詞「す」の未然形+「さす」〔尊敬〕+「らる」〔尊敬〕,近世語)
未然形「さっしゃら」「さっしゃれ」「さっしゃろ」
連用形「さっしゃり」「さっしゃつ」「さっしゃれ」「さっしゃい」
終止形「さっしゃる
連体形「さっしゃる」
已然形「さっしゃれ」「さっしゃるれ」
命令形「さっしゃれ」「さっしゃれい」

「 さんず ( 参ず ) 」[ サ変 ]( ←「 行く 」の〔謙譲〕版 )
→『 参上する』,『参る 』

「 さんず ( 散ず ) 」[ サ変 ]( 非敬語 )
→『 散る』,『退散する 』

「 しらしめす ( 知らしめす,領らしめす ) 」[ サ四 ]( ←「 知る 」の〔尊敬〕版 )
→『 お治めになる 』

「 しらす ( 知らす,領らす ) 」[ サ四 ]( ←「 知る 」の〔尊敬〕版 )
→『 お治めになる(上代) 』

「 しろしめす ( 知ろしめす,領ろしめす ) 」[ サ四 ]( ←「 知る 」の〔尊敬〕版 )
→『 お治めになる』,『知っていらっしゃる 』

「 せたまふ ( せ給ふ ) 」[ 連語 ]( ←「 「す」〔使役〕+補助動詞「給ふ」 )
→『 ~おさせになる 』

「 せたまふ ( せ給ふ ) 」[ 連語 ]( ←「 「す」〔尊敬〕+補助動詞「給ふ」 )
→『 お~になる 』 (非常に高い尊敬)

「 そうす ( 奏す ) 」[ サ変 ]( ←「 言ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 (天皇・上皇・法皇に)申し上げる』,(敬語とは別に)『音楽を演奏する 』

「 たうばる,たばる ( 賜る ) 」[ ラ四 ]( ←「 受く 」の〔謙譲〕版 )
→『 いただく 』

「 つかうまつる ( 仕う奉る ) 」[ ラ四 ]( ←「 仕ふ」,「す」,「行ふ」,「作る 」の〔謙譲〕版 )
→『 お仕えもうしあげる』,『(なにかを)して差し上げる 』

「 つかうまつる ( 仕う奉る ) 」[ ラ四 ]( 補助動詞〔謙譲〕 してさしあげる 』

「 つかはす ( 遣はす ) 」[ サ四 ]( ←「 遣る」,「与ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 お遣わしになる』,『お与えになる 』

「 つかへまつる ( 仕へ奉る ) 」[ ラ四 ]( ←「 仕ふ」,「す」,「行ふ」,「作る 」の〔謙譲〕版 )
→『 お仕え申し上げる』,『(なにかを)してさしあげる 』

「 とのごもる ( 殿隠る,殿籠る ) 」[ ラ四 ]( ←「 死ぬ」,「寝(ぬ) 」の〔尊敬〕版 )
→『 お隠れになる』,『おやすみになる 』

「 なす ( 寝す ) 」[ ラ四 ]( ←「 寝(ぬ 」の〔尊敬〕版 )
→『 おやすみになる 』

「 まうしあはす ( 申し合はす ) 」[ サ下二 ]( ←「 言ひ合はす 」の〔謙譲〕版 )
→『 相談申し上げる 』

「 まうしいづ ( 申し出づ ) 」[ ダ下二 ]( ←「 言ひ出づ 」の〔謙譲〕版 )
→『 自分から申し出る 』

「 まうしうく ( 申し受く ) 」[ カ下二 ]( ←「 言ひ受く 」の〔謙譲〕版 )
→『 (許可を)お願い申し上げる』,『願い出てお引き受けする 』

「 まうしつぐ ( 申し次ぐ ) 」[ ガ四段 ]( ←「 言ひ次ぐ 」の〔謙譲〕版 )
→『 取次ぎ申し上げる 』

「 まうしつたふ ( 申し伝ふ ) 」[ ハ下二 ]( ←「 言ひ伝ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 お伝え申し上げる』,『取次ぎ申し上げる』,『語り継ぎもうしあげる 』

「 まうしひらく ( 申し開く ) 」[ カ四 ]( ←「 言ひ開く 」の〔謙譲〕版 )
→『 弁明申し上げる 』

「 まうしむつぶ ( 申し睦ぶ ) 」[ バ上二 ]( ←「 言ひ睦ぶ 」の〔謙譲〕版 )
→『 親しくおつきあいもうしあげる 』

「 まうす ( 申す ) 」[ サ四 ]( 補助動詞〔謙譲〕
→『 ~申し上げる 』

「 まうす ( 申す ) 」[ サ四 ]( ←「 言ふ」,「願ふ」,「す 」の〔謙譲〕版 )
→『 申し上げる』,『お願いする』,『(なにかを)してさしあげる 』

「 まします ( 坐します ) 」[ サ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 (連用形,連用形+「て」に接続して)していらっしゃる 』

「 まします ( 坐します ) 」[ サ四 ]( ←「 あり 」の〔謙譲〕版 )
→『 いらっしゃる』,『おいでになる 』

「 まみゆ ( 見ゆ ) 」[ ヤ下二 ]( ←「 会ふ」,「見(み)ゆ 」の〔謙譲〕版 )
→『 お目にかかる』,『お会いする 』

「 みそなはす ( 見そなはす ) 」[ サ変 ]( ←「 見る 」の〔尊敬〕版 )
→『 御覧になる 』

「 みまそがり 」[ ラ変 ]( ←「 あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる』,『おいでになる 』

「 めさる ( 召さる ) 」[ サ下二 ]( ←「 す 」の〔尊敬〕版 )
→『 (なにかを)なさる 』

「 めさる ( 召さる ) 」[ サ下二 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 ~なさる 』

「 めす ( 召す ) 」[ サ四 ]( 呼ぶ」,「取り寄す」,「食ふ」,「飲む」,「着る」,「乗る 」の〔尊敬〕版 )
→『 お呼びになる』,『お取り寄せになる』,『召し上がる』,『お召しになる』,『お乗りになる 』

「 めす ( 見す,看す ) 」[ サ四 ]( 見る」,「治む 」の〔尊敬〕版 )
→『 御覧になる』,『お治めになる 』

「 もてまゐる ( 持て参る ) 」[ 連語 ]( ←「 (持参する)の意 」の〔謙譲〕版 )
→『 もって参上する』,『差し上げる 』

「 ものきこゆ ( もの聞こゆ ) 」[ ヤ下二 ]( ←「 物言ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 お話申し上げる 』

「 わす(座す) ( 座す ) 」[ サ四 ]( ←「 あり」,「来(く 」の〔尊敬〕版 )
→『 いらっしゃる』,『おいでになる 』

「 わたらせたまふ ( 渡らせ給ふ ) 」[ 連語 ]( ←「 渡る」,「行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 )
→『 お渡りになる』,『いらっしゃる 』
(「わたる」の未然形+「す」〔尊敬〕の連用形+「たまふ」

「 をす ( 食す ) 」[ サ四 ]( ←「 飲む」,「食ふ」,「(身に)着く」,「治む 」の〔尊敬〕版 )
→『 召し上がる』,『お召しになる』,『お治めになる 』

2013年7月19日金曜日

【311】敬語表現⑪「おぼす」一族オンパレード

【311】敬語表現⑪「おぼす」一族オンパレード

◎今回登場の敬語◎

「 おもほす ( 思ほす ) 」[ サ四 ]( ←「 思ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 お思いになる 』

「 おもほしめす ( 思ほし召す ) 」[ サ四 ]( ←「 思ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 お思いになる 』

「 おぼす ( 思す ) 」[ サ四 ]( ←「 思ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 お思いになる 』

「 おぼしめす ( 思し召す ) 」[ サ四 ]( ←「 思ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 お思いになる 』

「 おぼしおどろく ( 思し驚く ) 」[ カ四 ]( ←「 思ひ驚く 」の〔尊敬〕版 )
→『 お驚きになる 』

「 おぼしかく ( 思し掛く ) 」[ カ下二 ]( ←「 思ひ掛く 」の〔尊敬〕版 )
→『 気におかけになる』,『予想される 』

「 おぼしかしづく ( 思し傅く ) 」[ カ四 ]( ←「 思ひ傅く 」の〔尊敬〕版 )
→『 大切に思ってお育てになる 』

「 おぼしかずまふ ( 思し数まふ ) 」[ ハ下二 ]( ←「 思ひ数まふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 人並みの中に数えてお扱いになる 』

「 おぼしかまふ ( 思し構ふ ) 」[ ハ下二 ]( ←「 思ひ構ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 心の中で計画する』,『ひそかにおたくらみになる 』

「 おぼしくづほる ( 思し頽る ) 」[ ラ下二 ]( ←「 思ひ頽る 」の〔尊敬〕版 )
→『 がっかりなさる』,『悲観なさる 』

「 おぼしけつ ( 思し消つ ) 」[ タ四 ]( ←「 思ひ消つ 」の〔尊敬〕版 )
→『 無理にお忘れになる』,『無視なさる 』

「 おぼしさだむ ( 思し定む ) 」[ マ下二 ]( ←「 思ひ定む 」の〔尊敬〕版 )
→『 考えてお決めになる 』

「 おぼしさわぐ ( 思し騒ぐ ) 」[ ガ四 ]( ←「 思ひ騒ぐ 」の〔尊敬〕版 )
→『 思い乱れて落ち着かなくおなりになる 』

「 おぼししづむ ( 思し沈む ) 」[ マ下二 ]( ←「 思ひ慎む 」の〔尊敬〕版 )
→『 気を落ち着けていらっしゃる 』

「 おぼししづむ ( 思し沈む ) 」[ マ四 ]( ←「 思ひ沈む 」の〔尊敬〕版 )
→『 気がふさいでいらっしゃる 』

「 おぼししむ ( 思し染む ) 」[ マ下二 ]( ←「 思し染む 」の〔尊敬〕版 )
→『 深く思い込みなさる 』

「 おぼししむ ( 思し染む ) 」[ マ四 ]( ←「 思し染む 」の〔尊敬〕版 )
→『 心にしみてお思いなさる 』

「 おぼししる ( 思し知る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思し知る 」の〔尊敬〕版 )
→『 理解なさる』,『なるほどとお思いなさる 』

「 おぼしすつ ( 思し捨つ ) 」[ タ下二 ]( ←「 思し捨つ 」の〔尊敬〕版 )
→『 心にかけるのをおやめになる』,『お見捨てになる 』

「 おぼしたつ ( 思し立つ ) 」[ タ四 ]( ←「 思ひ立つ 」の〔尊敬〕版 )
→『 考えを起こされる』,『決心なさる 』

「 おぼしつつむ ( 思し包む ) 」[ マ四 ]( ←「 思ひ包む 」の〔尊敬〕版 )
→『 ご遠慮なさる』,『他人に知られないようになさる 』

「 おぼしとがむ ( 思し咎む ) 」[ マ下二 ]( ←「 思ひ咎む 」の〔尊敬〕版 )
→『 不審にお思いになる』,『変だとお気づきになる 』

「 おぼしとどむ ( 思し止む ) 」[ マ下二 ]( ←「 思ひ止む 」の〔尊敬〕版 )
→『 断念なさる』,『記憶なさる 』

「 おぼしとる ( 思し取る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ取る 」の〔尊敬〕版 )
→『 心にお悟りになる』,『決心なさる 』

「 おぼしなげく ( 思し嘆く ) 」[ カ四 ]( ←「 思ひ嘆く 」の〔尊敬〕版 )
→『 悲しくお思いになる 』

「 おぼしなす ( 思し為す ) 」[ サ四 ]( ←「 思ひ為す 」の〔尊敬〕版 )
→『 思い込みなさる 』

「 おぼしなやむ ( 思し悩む ) 」[ マ四 ]( ←「 思ひ悩む 」の〔尊敬〕版 )
→『 気にかけてお悩みになる 』

「 おぼしなる ( 思し成る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ成る 」の〔尊敬〕版 )
→『 だんだん思うようにおなりになる 』

「 おぼしのたまふ ( 思し宣ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 思ひ言う 」の〔尊敬〕版 )
→『 お思いになりおっしゃる』,『お考えをお述べになる 』

「 おぼしはなつ ( 思し放つ ) 」[ タ四 ]( ←「 思ひ放つ 」の〔尊敬〕版 )
→『 思いをお捨てになる』,『思い切ってしまわれる 』

「 おぼしはなる ( 思し離る ) 」[ ラ下二 ]( ←「 思ひ離る 」の〔尊敬〕版 )
→『 心がお離れになる』,『お考えにならなくなる 』

「 おぼしはばかる ( 思し憚る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ憚る 」の〔尊敬〕版 )
→『 気兼ねなさる』,『ご遠慮なさる 』

「 おぼしへだつ ( 思し隔つ ) 」[ タ下二 ]( ←「 思ひ隔つ 」の〔尊敬〕版 )
→『 心に隔てをお置きになる』,『よそよそしくなさる 』

「 おぼしまうく ( 思し設く ) 」[ カ下二 ]( ←「 思ひ設く 」の〔尊敬〕版 )
→『 前々から考えておききになる』,『予期なさる 』

「 おぼしまどふ ( 思し惑ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 思ひ惑ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 途方に暮れなさる 』

「 おぼしみだる ( 思し乱る ) 」[ ラ下二 ]( ←「 思ひ乱る 」の〔尊敬〕版 )
→『 あれこれとお悩みなさる 』

「 おぼしめぐらす ( 思し廻らす ) 」[ サ四 ]( ←「 思ひ廻らす 」の〔尊敬〕版 )
→『 あれこれとお考えになる 』

「 おぼしめしよる ( 思し召し寄る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ寄る 」の〔尊敬〕版 )
→『 考えるようになられる』,『気持ちを抱くようになられる 』

「 おぼしやすらふ ( 思し休らふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 思ひ休らふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 決心がつきかねていらっしゃる 』

「 おぼしやる ( 思し遣る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ遣る 」の〔尊敬〕版 )
→『 想像なさる』,『遠くのことをお思いになる 』

「 おぼしゆるす ( 思し許す ) 」[ サ四 ]( ←「 思ひ許す 」の〔尊敬〕版 )
→『 お許しになる 』

「 おぼしよる ( 思し寄る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ寄る 」の〔尊敬〕版 )
→『 思いつきなさる』,『思ひをお寄せになる 』

「 おぼしよわる ( 思し弱る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ弱る 」の〔尊敬〕版 )
→『 お心が弱りなさる』,『気持ちがくじけなさる 』

「 おぼしわく ( 思し分く ) 」[ カ四/カ下二 ]( ←「 思ひ分く 」の〔尊敬〕版 )
→『 判断なさる』,『理解なさる 』

「 おぼしわする ( 思し忘る ) 」[ カ下二 ]( ←「 思ひ忘る 」の〔尊敬〕版 )
→『 お忘れになる 』

「 おぼしわたる ( 思し渡る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ渡る 」の〔尊敬〕版 )
→『 思ひ続けていらっしゃる 』

「 おぼしわづらふ ( 思し煩ふ ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ煩ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 あれこれお悩みになる』,『思案にくれなさる 』

「 おぼしわぶ ( 思し侘ぶ ) 」[ バ上二 ]( ←「 思ひ侘ぶ 」の〔尊敬〕版 )
→『 気落ちなさる 』

「 おもほしいづ ( 思ほし出づ ) 」[ ダ下二 ]( ←「 思ひ出づ 」の〔尊敬〕版 )
→『 お思い出しになる 』

「 おぼしあつかふ ( 思し扱ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 思ひ扱ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 よく気をつけてお世話なさる』,『あれこれ考えて苦しまれる 』

「 おぼしあはす ( 思し合はす ) 」[ サ下二 ]( ←「 思ひ合はす 」の〔尊敬〕版 )
→『 お考え合わせになる』,『思い当たりなさる 』

「 おぼしいづ ( 思し出づ ) 」[ ダ下二 ]( ←「 思ひ出づ 」の〔尊敬〕版 )
→『 思い出しなさる 』

「 おぼしいる ( 思し入る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ入る 」の〔尊敬〕版 )
→『 深く心に思い込みなさる』,『深くお考えになる 』

「 おぼしうたがふ ( 思し疑ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 思ひ疑ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 疑わしくお思いになる 』

「 おぼしおきつ ( 思し掟つ ) 」[ タ下二 ]( ←「 思ひ掟つ 」の〔尊敬〕版 )
→『 心にお決めになさる』,『計画なさる 』

「 おぼしおく ( 思し置く ) 」[ カ四 ]( ←「 思ひ置く 」の〔尊敬〕版 )
→『 心に決めておかれる』,『あとに心を残される 』

「 おぼしおとす ( 思し貶す ) 」[ サ四 ]( ←「 思ひ貶す 」の〔尊敬〕版 )
→『 軽蔑なさる 』

◎解説◎

とくに「解説」するところでもないです。
「おもほす」「おぼす」「おもほしめす」「おぼしめす」は絶対暗記してください。「~めす」となった場合は敬意が強まるのは他と同じです。
それ以外のものについては1語でも多く覚えたほうがよいでしょう。

【310】敬語表現⑩まぎらわしい表現「きこす」「きこゆ」「きこしめす」「きこえさす」など

【310】敬語表現⑩まぎらわしい表現「きこす」「きこゆ」「きこしめす」「きこえさす」など

◎今回登場の敬語◎

「 きく ( 聞く ) 」[ サ四 ]( 非敬語 )
→『 聞く』,『(味わいを)試す』,『(香りを)かぐ 』

「 きこす ( 聞こす ) 」[ サ四 ]( ←「 聞く」,「言ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 お聞きになる』,
→『おっしゃる 』
『おっしゃる』は上代語)

「 きこしめす ( 聞こし召す ) 」[ サ四 ]( ←「 聞く」,「聞き入る」,「治む」,「飲む・食ふ」 」の〔尊敬〕版 )
→『 お聞きになる』,『お聞きいれなさる』,『感心をおもちになる』,『お治めになる』,『召し上がる 』

「 きこゆ ( 聞こゆ ) 」[ ヤ下二 ]( 非敬語 )
→『 聞こえる』,『評判になる』,『理解できる 』

「 きこゆ ( 聞こゆ ) 」[ ヤ下二 ]( ←「 言ふ」,「呼ぶ 」の〔謙譲〕版 )
→『 申し上げる』,『お呼びする』,『(手紙などをさしあげる 』

「 きこゆ ( 聞こゆ ) 」[ ヤ下二 ]( 補助動詞〔謙譲〕
→『 ~申し上げる 』

「 きこえさす ( 聞こえさす ) 」[ サ下二 ]( ←「 言ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 申し上げる』,『手紙をさしあげる 』

「 きこえさす ( 聞こえさす ) 」[ サ下二 ]( 補助動詞〔謙譲〕
→『 ~し申し上げる 』

「 きこえさす ( 聞こえさす ) 」[ サ四 ]( ←「 言ひさす 」の〔謙譲〕版 )
→『 申し上げるのを途中でやめる 』

「 きこえさす ( 聞こえさす ) 」[ 連語 ]( 「聞こゆ」の未然形+「さす」〔使役〕
→『 申し上げさせる 』

「 きこえあはす ( 聞こえ合はす ) 」[ サ下二 ]( ←「 言ひ合はす 」の〔謙譲〕版 )
→『 互いに心の隔てなくお話申し上げる』,『ご相談申し上げる 』

「 きこえあふ ( 聞こえ合ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 言ひ合う 」の〔謙譲〕版 )
→『 口々に申し上げる』,『うわさ申し上げる 』

「 きこえいだす ( 聞こえ出だす ) 」[ サ四 ]( ←「 言ひ出だす 」の〔謙譲〕版 )
→『 (内から外にいる人に)申し上げる 』

「 きこえいなぶ ( 聞こえ否ぶ ) 」[ バ上二 ]( ←「 言ひ否ぶ 」の〔謙譲〕版 )
→『 断りを申し上げる』,『ご辞退申し上げる 』

「 きこえおく ( 聞こえ置く ) 」[ カ四 ]( ←「 言ひ置く 」の〔謙譲〕版 )
→『 前もって申し上げる』,『申し残しておく 』

「 きこえかかる ( 聞こえ掛かる ) 」[ ラ四 ]( ←「 言ひ掛かる 」の〔謙譲〕版 )
→『 言い寄りもうしあげる』,『話しかけもうしあげる 』

「 きこえかく ( 聞こえ掛く ) 」[ カ下二 ]( ←「 言ひ掛く 」の〔謙譲〕版 )
→『 言葉をかけもうしあげる 』

「 きこえかはす ( 聞こえ交はす ) 」[ サ四 ]( ←「 言ひ交はす 」の〔謙譲〕版 )
→『 互いに言葉をかわしもうしあげる』,『互いに手紙をさしあげ合う 』

「 きこえかへす ( 聞こえ返す ) 」[ サ四 ]( ←「 言ひ返す 」の〔謙譲〕版 )
→『 ご返答申し上げる』,『お断り申し上げる』,『反対申し上げる 』

「 きこえかよふ ( 聞こえ通ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 言ひ通ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 互いに手紙をさしあげる』,『言葉を交わしもうしあげる 』

「 きこえごつ ( 聞こえごつ ) 」[ タ四 ]( ←「 聞こえごつ 」の〔謙譲〕版 )
→『 申し上げる』,『わざと聞こえるように申し上げる 』

「 きこえしらす ( 聞こえ知らす ) 」[ サ下二 ]( ←「 言ひ知らす 」の〔謙譲〕版 )
→『 説明申し上げる』,『お話してお聞かせ申し上げる 』

「 きこえつく ( 聞こえ付く ) 」[ カ下二 ]( ←「 言ひ付く 」の〔謙譲〕版 )
→『 お頼み申し上げる 』

「 きこえつく ( 聞こえ付く ) 」[ カ四 ]( ←「 言ひ付く 」の〔謙譲〕版 )
→『 (心の中の思いを)申し上げて近づく 』

「 きこえつぐ ( 聞こえ継ぐ ) 」[ ガ四 ]( ←「 言ひ継ぐ 」の〔謙譲〕版 )
→『 お伝え申し上げる』,『取次ぎ申し上げる 』

「 きこえつたふ ( 聞こえ伝ふ ) 」[ ハ下二 ]( ←「 言ひ伝ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 語り伝え申し上げる』,『取りつぎ申し上げる 』

「 きこえなす ( 聞こえ倣す ) 」[ サ四 ]( ←「 言ひ倣す 」の〔謙譲〕版 )
→『 とりつくろって申し上げる 』

「 きこえやる ( 聞こえ遣る ) 」[ ラ四 ]( ←「 言ひ遣る 」の〔謙譲〕版 )
→『 お伝え申し上げる』,『すらすら申し上げる 』

「 きこしめしあはす ( 聞こし召し合はす ) 」[ サ下二 ]( ←「 聞き合はす 」の〔尊敬〕版 )
→『 お聞き合わせなさる 』

「 きこしめしいる ( 聞こし召し入る ) 」[ ラ下二 ]( ←「 聞き入る 」の〔尊敬〕版 )
→『 お聞き届けなさる 』

「 きこしめしつく ( 聞こし召し付く ) 」[ カ下二 ]( ←「 聞き付く 」の〔尊敬〕版 )
→『 お聞き及びになる 』

「 きこしをす ( 聞こし食す ) 」[ サ四 ]( ←「 ・・・ 」の〔尊敬〕版 )
→『 お治めあそばす 』

◎解説◎
まずは,非敬語としての「きく(聞く)」「きこゆ(聞こゆ)」の意味を把握しましょう。
「きく(聞く)」は,積極的に五感にうったえてなにかを感じ取ろうという意思(→『聞く』,『(味わいを)試す』,『(香りを)かぐ』)の意であり,
「きこゆ(聞こゆ)」は,消極的に五感が外からのものに対して感じる状態(→『聞こえる』,『評判になる』,『理解できる』)の意です。

「きこす(聞こす)」は「きく(聞く)」の〔尊敬〕版で,
「きこしめす(聞こし召す)」はさらに尊敬の意が強くなったものであると同時に『召し上がる』,『お治めになる』という意が追加されます。
「きこす(聞こす)」から派生するものとして, 「 きこしめしあはす ( 聞こし召し合はす ) 」 「 きこしめしいる ( 聞こし召し入る ) 」 「 きこしめしつく ( 聞こし召し付く ) 」 「 きこしをす ( 聞こし食す ) 」があります。

さて,また例によって脱線するけど,
これまで何度も言ってきましたが,
日本語(古文を含む)の世界は「まずは動詞ありき!」
なのです。
「主語」?「目的語」?ナニソレオイシイノ?
~という感覚なので,英語のように主語と目的語を入れ替えたら「受動態」にしよう!という発想があまりなく,
とりわけ「敬語」がからみだすと,そのあたりの感覚がかなりルーズになります。
敬意の対象があまりにもおそれおおくてそういう細かい感覚がマヒしてしまうのでしょう。
昔の貴族たちの日常会話の肉声が保存されているわけでもないので,推測でしかないわけですが,
ともかく「そういう時代だったんだ」と思っておいて間違いないはずです。

さて,なんでこういう話をしたかというと
「きこゆ(聞こゆ)」にはもともと単純に『聞こえる』という意味の動詞なわけです。
消極的に外からのものを五感が感じる状態なわけですから,
それはたとえば虫の声だったり,小川のせせらぎだったり,
現代でいえば,エアコンの音,自動車の音・・・を五感が感じるということなわけです。
ところが,これが偉い人からみれば偉くない人がなにやらあーだこーだいっているのが
「きこゆ(聞こゆ)」(→『聞こえる』)ような場合,偉い人からみればたしかに『聞こえる』んだけど,
偉くない人からみれば反対に『申し上げる』ということになる。
これば英語の感覚だとここに主語目的語の逆転があるのだから「きこゆ(聞こゆ)」を受動態にして~
なんてなるんだけど,それがない。
「きこゆ(聞こゆ)」のままで『申し上げる』という意味になる。
だもんだから,「いふ(言ふ)」の〔謙譲〕版ということにもなる。
意味としてはそこから派生して『お呼びする』『手紙などをさしあげる』が追加され,
用法としては前に動詞などをくっつけて補助動詞〔謙譲〕の役割も追加される。
さらには・・・
もともと「きこゆ(聞こゆ)」に「さす」〔尊敬〕をつけた形の「きこえさす」
自然と耳にはいってくる状態に〔尊敬〕の意味を加味したものだと考えれば
『自然とお耳に入っていらっしゃる』偉い人に対して『申し上げる』ことになるのだから
「きこえさす」自体に〔謙譲〕の敬語動詞(→『申し上げる』)の役割が生まれ,
さらには補助動詞〔謙譲〕(→『~申し上げる』)の役割も追加される。

もっとも「きこゆ(聞こゆ)」に「さす」〔尊敬〕をつけて「きこえさす」となる場合は
必ず下に「給ふ」があり,「きこえさせ給ふ」となり,
このときの「きこゆ(きこえ)」は『申し上げる』の意となり,
全体として『申し上げなさる』という意味になる。(『お聞きになる』とはならない)
「さす」〔尊敬〕があれば「さす」〔使役〕もあるのは必定。(この感覚はこれまで何度もやっていますね)
この場合は,「きこえさす」で『申し上げさせる』となる。(『聞かせる』とはならない)
そして,敬語とは関係ないけど,
「言ひさす」という動詞があり,これは『言うのを途中でやめる』という意味になる。
「さす」には『中断する』という意味がある。
この「言ひさす」の「言ふ」を〔謙譲〕にすると「きこゆ(聞こゆ)」になり,
全体として「きこえさす」になり,『申し上げるのを途中でやめる』という意になる。
このようないろんな事情があって,
「きこえさす」には 『 申し上げる 』 『 手紙をさしあげる 』 『 ~し申し上げる 』 『 申し上げるのを途中でやめる 』 『 申し上げさせる 』
という意味がある。(いろいろあって複雑ですが)

◎結論◎
長々とお読みいただきましてありがとうございました。
要するに・・・といえば

「きこす(聞こす)」は『お聞きになる』という〔尊敬〕語,
「きこしめす(聞こし召す)」は「きこす」より強い〔尊敬〕語,
「きこゆ(聞こゆ)」は本来的にはただの『聞く』だけど,
敬語となると『申し上げる』,『(~して)申し上げる』という〔謙譲〕
「きこえさす」は厄介なので一応の理解をした上『申し上げる』,『申し上げさせる』,『申しあげるのを途中でやめる』,『(~して)申し上げる』,『手紙をさしあげる』で丸暗記!!
他に「きこゆ(聞こゆ」から派生した
「 きこえあはす ( 聞こえ合はす )」 「 きこえあふ ( 聞こえ合ふ )」 「 きこえいだす ( 聞こえ出だす )」 「 きこえいなぶ ( 聞こえ否ぶ )」 「 きこえおく ( 聞こえ置く )」 「 きこえかかる ( 聞こえ掛かる )」 「 きこえかく ( 聞こえ掛く )」 「 きこえかはす ( 聞こえ交はす )」 「 きこえかへす ( 聞こえ返す )」 「 きこえかよふ ( 聞こえ通ふ )」 「 きこえごつ ( 聞こえごつ )」 「 きこえしらす ( 聞こえ知らす )」 「 きこえつく ( 聞こえ付く )」 「 きこえつく ( 聞こえ付く )」 「 きこえつぐ ( 聞こえ継ぐ )」 「 きこえつたふ ( 聞こえ伝ふ )」 「 きこえなす ( 聞こえ倣す )」 「 きこえやる ( 聞こえ遣る )」
~についてはできれば1語でも多く覚えておきましょう。

2013年7月17日水曜日

【309】敬語表現⑨まぎらわしい表現「はべり」「さうらふ(さぶらふ)」

【309】敬語表現⑨まぎらわしい表現「はべり」「さうらふ(さぶらふ)」・・・

◎今回登場の敬語◎

「 はべり ( 侍り ) 」[ ラ変 ]( ←「 あり」,「居(を)り 」の〔丁寧〕版 )
→『 あります』,『ございます 』

「 はべり ( 侍り ) 」[ ラ変 ]( 補助動詞〔丁寧〕
→『 ~ます』,『~でおります 』

「 はべり ( 侍り ) 」[ ラ変 ]( ←「 仕ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 おそばにいる』,『お仕えする 』

「 さうらふ,さぶらふ ( 候ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 あり 」の〔丁寧〕版 )
→『 ございます 』

「 さうらふ,さぶらふ ( 候ふ ) 」[ ハ四 ]( 補助動詞〔丁寧〕
→『 ~ございます 』

「 さうらふ,さぶらふ ( 候ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり」,「仕ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 お仕え申し上げる』,『参上する 』

◎解説◎
簡単に言ってしまえば,「はべり」「さうらふ(さぶらふ)」〔丁寧〕であるならば,
敬語動詞であっても,補助動詞であってもたいして問題ではない。『~です』,『~ます』,『ございます』と訳してしまえばいい。
〔謙譲〕の敬語動詞(→『お仕えもうしあげる』,『おひかえもうしあげる(そばについている)』という場合をどう見出すかということになる。
現代でもちょっと気取った大人の男性が女性のいる酒場にいって,「美女数人を侍らせて~」なんていう表現もあるけど,まさしくその「侍らせる」がこの意と同じになるわけだが,
古文の世界ではこの「侍らされる」人は貴人でなくてはいけない。
つまり,「侍る」べき人と「侍らされる」貴人の2人が存在しないとこの意にはならないを考えておけばあとは文脈理解にゆだねていいだろう。
短いけど今回はこれで終わり。

【308】敬語表現⑧まぎらわしい表現「まゐる」「たてまつる」・・・

【308】敬語表現⑧まぎらわしい表現「まゐる」「たてまつる」・・・

◎今回登場の敬語◎

「 たてまつる ( 奉る ) 」[ ラ四 ]( 補助動詞〔謙譲〕
→『 ~申し上げる 』
(同じ謙譲の補助動詞に「聞こゆ」があるが,
『源氏物語』などでは、「奉る」は「見る」「聞く」「返す」「抱く」などの動作を表す動詞,助動詞「る」「らる」「す」「さす」「しむ」に付き,
「聞こゆ」は「思ふ」「恋ふ」などの精神活動を表す動詞に付く傾向があるといわれる)

「 たてまつる ( 奉る ) 」[ ラ四/ラ下二 ]( ←「 与ふ」,「遣る 」の〔謙譲〕版 )
→『 差し上げる』,『参上させる 』

「 たてまつる ( 奉る ) 」[ ラ四/ラ下二 ]( ←「 飲む」,「食ふ」,「着る」,「乗る 」の〔尊敬〕版 )
→『 召し上がる』,『お召しになる 』

「 たてまつらす ( 奉らす ) 」[ 連語 ]( 「奉る」の未然形+「す」〔使役〕or〔尊敬〕 )
→『(「す」が〔使役〕で「奉る」が〔謙譲〕のとき)差し上げさせる』,
→『(「す」が〔尊敬→ここでは〔謙譲〕の強調)で「奉る」が〔謙譲〕のとき)差し上げる』,
→『(「奉る」が〔尊敬〕のとき)お召しいただく 』

「 まゐる ( 参る ) 」[ ラ四 ]( ←「 行く」,「来(く) 」の〔謙譲〕版 )
→『 参上する』,『参詣する』,『入内する 』

「 まゐる ( 参る ) 」[ ラ四 ]( ←「 与ふ」,「仕ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 差し上げる』,『(なにかを)して差し上げる 』

「 まゐる ( 参る ) 」[ ラ四 ]( ←「 行く 」の〔丁寧〕版 )
→『 参ります 』

「 まゐる ( 参る ) 」[ ラ四 ]( ←「 飲む」,「食ふ」,「着る」,「乗る 」の〔尊敬〕版 )
→『 召し上がる』,『お召しになる』,『お乗りになる 』

「 まづ・まうづ ( 参づ,詣づ ) 」[ ダ下二 ]( ←「 行く 」の〔謙譲〕版 )
→『 参る』,『参詣する 』

「 まゐく ( 参来 ) 」[ カ変 ]( ←「 来(く) 」の〔謙譲〕版 )
→『 参上する』,『参り来る 』

「 まゐづ ( 参出 ) 」[ ダ下二 ]( ←「 出づ 」の〔謙譲〕版 )
→『 参上する』,『うかがう 』

「 まゐでく ( 参出来 ) 」[ カ変 ]( ←「 来(く) 」の〔謙譲〕版 )
→『 参上する』,『参り来る 』
(上代語)

「 まうでく ( 参出来 ) 」[ カ変 ]( ←「 来(く) 」の〔謙譲〕版 )
→『 参上する』,『参り来る 』

「 まうでく ( 参出来 ) 」[ カ変 ]( ←「 来(く) 」の〔丁寧〕版 )
→『 参ります 』

「 まゐのぼる ( 参上る ) 」[ ラ四 ]( ←「 上る(のぼる) 」の〔謙譲〕版 )
→『 (貴人のもとに)うかがう 』

「 まうのぼる ( 参上る ) 」[ ラ四 ]( ←「 上る(のぼる) 」の〔謙譲〕版 )
→『 参上する 』

「 まかる ( 罷る ) 」[ ラ四 ]( ←「 行く」,「来(く) 」の〔謙譲〕版 )
→『 退出する 』

「 まかづ ( 罷づ ) 」[ ダ下二 ]( ←「 行く」,「来(く) 」の〔謙譲〕版 )
→『 退出する 』

「 まかりあかる ( 罷り離る,罷り別る ) 」[ ラ下二 ]( ←「 あかる 」の〔謙譲〕版 )
→『 別々に退出する』,『退出して別れる』 』

「 まかりいづ ( 罷り出づ ) 」[ ダ下二 ]( ←「 出づ」,「行く 」の〔謙譲〕版 )
→『 退出する』,『参上する』,『参ります 』

「 まかりありく ( 罷り歩く ) 」[ カ四 ]( ←「 ありく 」の〔謙譲〕版 )
→『 出歩く』,『動き回る 』

「 まかりなる ( 罷り成る ) 」[ ラ四 ]( ←「 なる(=become) 」の〔尊敬〕版 )
→『 (ある状態に)なる 』

「 まゐらす ( 参らす ) 」[ サ下二 ]( ←「 与ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 差し上げる 』

「 まゐらす ( 参らす ) 」[ サ下二 ]( ←「 補助動詞〔謙譲〕
→『 (動作)~申し上げる 』

「 まゐらす ( 参らす ) 」[ 連語 ]( ←「 「参る」の未然形+「す」〔使役〕 )
→『 差し上げさせる』,『参上させる 』

「 まゐらせたまふ ( 参らせ給ふ ) 」[ 連語 ]( ←「 「参る」の未然形+「す」〔尊敬〕+「たまふ」 )
→『 参上あそばされる 』

「 まゐりつく ( 参り着く ) 」[ カ四 ]( ←「 行き着く 」の〔謙譲〕版 )
→『 到着する 』

◎解説◎

「たてまつる」とくれば〔謙譲〕の敬語動詞(→『参上する』,『差し上げる』)か,
〔謙譲〕の補助動詞(→『~(して)申し上げる』なんだけど,
例外的に,「衣」「食」「乗」関係に用いられると,
〔尊敬〕の敬語動詞(→『お召しになる』,『召し上がる』,『お乗りになる』)となる。
これに「す」〔使役〕〔尊敬〕をつけた「たてまつらす」もあるが,
この場合文脈からしかるべき解釈をする必要がある。

「まゐる」とくれば〔謙譲〕の敬語動詞(→『参上する』,『参詣する』)か,
あるいは単純に〔丁寧〕の敬語動詞(→『まいります』)なんだけど,
これまた例外的に,,「衣」「食」「乗」関係に用いられると,
〔尊敬〕の敬語動詞(→『お召しになる』,『召し上がる』,『お乗りになる』)となる。

「まゐる」の同義語に「まうづ」があり,この場合は
〔謙譲〕の敬語動詞(→『参る』,『参詣する』)の意のみである。

「まゐる」「まうづ」の反対語に
「まかる」「まかづ」があり,
これらは一般的には〔謙譲〕の敬語動詞(→『退出する』)となる。
ただし,
「下の場所」から「上の場所」に行く場合は,「まゐる」「まうづ」
「上の場所」から「下の場所」に行く場合は,「まかる」「まかづ」
が使われるのが普通である。
下→上とは例えば,ごく普通の場所から貴人のお屋敷に行く場合,ごく普通の場所から神社仏閣を訪れる場合,地方から都(京都)に行く場合などのことをいい,
上→下とはその逆を考えればよい。
もっとも時代が下るにつれて,この区別はなくなってきて,
例えば「まかる」が『参上する』といった意になることもある。

「まゐらす」の場合それが1語として用いられるときは
〔謙譲〕の敬語動詞(→『差し上げる』)か,
〔謙譲〕の補助動詞(→『~し申し上げる』となるが,
同じ「まゐらす」でもの場合は,
『差し上げさせる』,『参上させる』となるので注意が必要である。
この見分け方は,いささか乱暴であるが,
〔謙譲〕の敬語動詞「まゐる」の未然形+「す」〔使役〕の場合は
そこに「差し上げる(参上する)対象」と「差し上げ(参上)させられる者」と「差し上げ(参上)させる者」
の三者が存在するはずなので,そのあたりからの文脈判断がよいだろう。
なお,〔謙譲〕の敬語動詞「まゐる」の未然形+「す」〔尊敬〕となる場合は,
普通は「まゐらせたまふ」(→『参上あそばされる』)の形になる。
それ以外の 「 まゐく 」 「 まゐづ 」 「 まゐでく 」 「 まうでく 」 「 まうでく 」 「 まゐのぼる 」 「 まうのぼる 」 「 まかりあかる 」 「 まかりいづ 」 「 まかりありく 」 「 まかりなる 」 「 まゐらす 」 「 まゐらす 」 「 まゐらす 」 「 まゐらせたまふ 」 「 まゐりつく 」, については「まゐる」「まかる」から派生した語なので,1語でも多く知っておくといいだろう。

2013年7月16日火曜日

【307】敬語表現⑦まぎらわしい表現「たまふ」「たまはす」「たまはる」「のたまふ」「せたまふ」・・・

【307】敬語表現⑦まぎらわしい表現「たまふ」「たまはす」「たまはる」「のたまふ」「せたまふ」・・・
◎しつこいようですが・・・敬語の3パターンについての復習◎
動詞に敬意を付与するときは・・・・
①その動詞に助動詞「る」「らる」「す」「さす」「しむ」を付ける方法〔Aパターン〕→この場合は〔尊敬〕のみ
②その動詞に補助動詞を付ける方法〔Bパターン〕→〔謙譲〕〔尊敬〕〔丁寧〕すべて表現できる
③動詞そのものを敬意を含んだ別の動詞に置き換えてしまう方法〔Cパターン〕→ただし,「敬意を含んだ別の動詞」には限りがあるのでいつでもできるわけではない

・・・・という3パターンあるということを
これまでしつこく習ってきました。

ところが,これまでにも何度かお話したことですが,
古文(日本語)は英語と違い単語と単語の切れ目が一見して不明なので
単語だけを覚えて用法を覚えるだけで即実践・・・とならないんですよね。

今回は「たま・・ふ」に焦点をあてて例によって整理してみましょう

◎今回登場の敬語◎
「 たまふ ( 給ふ,賜ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 与ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 お与えになる,
『(命令形にして)~しなさい 』

「 たまふ ( 給ふ,賜ふ ) 」[ ハ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 お~になる 』

「 たまふ ( 給ふ,賜ふ ) 」[ ハ下二 ]( ←「 受く」,「飲む」,「食ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 いただく』,『ちょうだいする 』 (ごく稀にある表現)

「 たまふ ( 給ふ,賜ふ ) 」[ ハ下二 ]( 補助動詞〔謙譲〕
→『 (「見る」「聞く」「思ふ」などの知覚動詞の連用形に接続して)~させていただく 』

「 たまはす ( 賜はす ) 」[ サ下二 ]( ←「 与ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 お与えになる 』
(「たまはす」>「たまふ」)

「 たまはる ( 賜る ) 」[ ラ四 ]( ←「 受く 」の〔謙譲〕版 )
→『 いただく 』

「 たまはる ( 賜る ) 」[ ラ四 ]( ←「 与ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 お与えになる 』
(鎌倉時代以降)

「 たまはる ( 賜る ) 」[ ラ四 ]( 補助動詞〔謙譲〕
→『 (連用形,連用形+「て」に接続して)お~になる 』

「 たまはる ( 賜る ) 」[ ラ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 (連用形,連用形+「て」に接続して)~していただく 』
(鎌倉時代以降)

「 せたまふ ( せ給ふ ) 」[ 連語 ]( ←「 「す」〔尊敬〕+補助動詞「給ふ」 )
→『 お~になる 』 (非常に高い尊敬)

「 せたまふ ( せ給ふ ) 」[ 連語 ]( ←「 「す」〔使役〕+補助動詞「給ふ」 )
→『 ~おさせになる 』

「 させたまふ ( させ給ふ ) 」[ 連語 ]( ←「 「さす」〔尊敬〕+補助動詞「給ふ」 )
→『 お~になる 』 (非常に高い尊敬)

「 させたまふ ( させ給ふ ) 」[ 連語 ]( ←「 「さす」〔使役〕+補助動詞「給ふ」 )
→『 ~おさせになる 』

「 たうぶ,たぶ ( 給ふ,賜ふ ) 」[ バ四 ]( ←「 与ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 お与えになる』,『くださる 』

「 たうぶ,たぶ ( 給ぶ,賜ぶ ) 」[ バ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 お~になる(〔尊敬〕) 』

「 たうぶ,たぶ ( 食ぶ ) 」[ バ下二 ]( ←「 飲む」,「食ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 (飲食物を)いただく 』

「 たうぶ,たぶ ( 食ぶ ) 」[ バ下二 ]( ←「 飲む」,「食ふ 」の〔丁寧〕版 )
→『 (飲食物を)いただく 』

「 たうばる,たばる ( 賜る ) 」[ ラ四 ]( ←「 受く 」の〔謙譲〕版 )
→『 いただく 』

「 のたまふ ( 宣ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 言う 」の〔尊敬〕版 )
→『 おっしゃる』,
『(上位の人との対話の中で話し手が上位の人の言葉を)言い聞かせる 』

「 のたうぶ ( 宣ぶ ) 」[ バ四 ]( ←「 言ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 おっしゃる 』

「 のたまはす ( 宣はす ) 」[ サ下二 ]( ←「 言ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 仰せになる』,『おっしゃる 』 (「のたまはす」>「のたまふ」)

「 のたまひあはす ( 宣ひ合はす ) 」[ サ下二 ]( ←「 言ひ合はす 」の〔尊敬〕版 )
→『 相談なさる 』

「 のたまひいだす ( 宣ひ出だす ) 」[ サ四 ]( ←「 言ひ出だす 」の〔尊敬〕版 )
→『 口に出しておっしゃる 』
◎解説◎
非敬語レベルでいえば「与ふ」「受く」「飲む」「食ふ」「言う」・・・だけなのによくまあ仰々しくいろいろあるわ・・・・って感じですが,

まずは・・・
「たまふ」というのがありまして,「与ふ」の〔尊敬〕語です。
対照的に「たまはる」というのがありまして,「受く」の〔尊敬〕語です。
「たまはす」も「与ふ」の〔尊敬〕語で,これは「たまふ」より〔尊敬〕の意が強くなります。


ところが・・・
鎌倉時代以降ですと,「たまはる」も,「与ふ」という意の〔尊敬〕の意をもつようになりました。
またごくごくまれに「たまふ」も,「受く」,「食う」,「飲む」の〔謙譲〕の意があったりします。


また・・・
「たまふ」は他の動詞の下についてその動詞の意の〔尊敬〕の補助動詞にもなり,
「たまはる」は他の動詞の下についてその動詞の意の〔謙譲〕の補助動詞にもなりました。
鎌倉時代以降ですと,「たまはる」にも〔尊敬〕の補助動詞としての役割も追加しました。
一定条件下(知覚動詞に接続・・・等)では「たまふ」には〔謙譲〕の補助動詞としての役割もあったりします。


ところで・・・
〔尊敬〕補助動詞としての「たまふ」ですが,
これまたさらに〔尊敬〕させようとして
「す」〔尊敬〕や「さす」〔尊敬〕を上につけて
「せたまふ」「させたまふ」という《〔尊敬〕+〔尊敬〕》の意の連語もあります。
でもこれについては同じ「す」,「さす」でも〔使役〕の場合もありまして,
この場合の「せたまふ」「させたまふ」は《〔使役〕+〔尊敬〕》の意の連語になるので,要注意です
蛇足ながら,助動詞「る」,「らる」のところでもお話しましたが,
「る」や「らる」を上につけて
「れたまふ」「られたまふ」となった場合の
「る」や「らる」は〔尊敬〕にはならず,
この場合の「れたまふ」「られたまふ」は,
《〔可能or受身or自発〕+〔尊敬〕》の意の連語になるので要注意です。


そしてさらに・・・
本来ならば「言ふ」+「給う」の形で「言ひ給ふ」とでもなるべきものが変化したもので「のたまふ」という〔尊敬〕語があります。
「のたまはす」も「与ふ」の〔尊敬〕語で,これは「のたまふ」より〔尊敬〕の意が強くなります。
「のたまひあはす「のたまひいだす」「のたまふ」から派生したものです。


また一方で・・・
「たまふ」が変化した形に
「たぶ」「たうぶ」というのがあり,
基本的には「たまふ」と同じで,「与ふ」の〔尊敬〕と,
〔尊敬〕の補助動詞となるわけですが,
こちらのほうは「飲む」,「食ふ」の〔謙譲〕やら〔丁寧〕の意味もあります。
同様に,「たまはる」が変化した「たうばる」「たばる」というのがあり,
こちらのほうは〔謙譲〕の補助動詞(→『いただく』)の意のみです。
また同様に「のたまふ」が変化して,
「のたうぶ」というのもあります。

カンタンに感覚的にいってしまえば
〔尊敬〕の敬語動詞,補助動詞「たまふ」があり
〔謙譲〕の敬語動詞,補助動詞「たまはる」がある。
「たまふ」より強い「たまはす」があり,
「たまふ」とほぼ同じ意味っぽい「たぶ」,「たうぶ」があり,
そして少々面倒なのが逆に「たまふ」は〔謙譲〕,「たまはる」は〔尊敬〕の意になったりする。
「たまふ」などから派生した「のたまふ」,「のたうぶ」があり,さらに「のたまふ」より強い「のたまはす」もある。
「のたまふ」から派生したものとして「のたまひあはす」,「のたまひいだす」があります。
上記青枠内を読みながら,それぞれの意味が頭の中に浮かんできたら十分です。

◎「たまふ」が〔謙譲〕の補助動詞になるときの特色◎
①ハ行下二段活用である(〔尊敬〕の場合ハ行四段活用)。
②「思ふ」「覚ゆ」「見る」「聞く」「知る」にしか付かない
③会話文,手紙文にしか用いられない。
④命令形はなく,終止形もほとんどない。

〔尊敬〕の補助動詞の「たまふ」と〔謙譲〕の補助動詞の「たまふ」の識別◎
「たまは」「たまひ」たまふ」は形からハ行四段活用と判断できるので〔尊敬〕
「たまふる」「たまふれ」は形から下二段活用と判断できるので〔謙譲〕
「思ふ」「覚ゆ」「見る」「聞く」「知る」以外についていれば〔尊敬〕
「思う」「覚ゆ」「見る」「聞く」「知る」に「たまへ」が付いている場合
→→「~たまへ」と文末になっているときは〔尊敬〕
→→未然形・連用形接続の助動詞がついているときは〔謙譲〕
→→それ以外は(少々乱暴だけど)たいがいが〔尊敬〕

2013年7月14日日曜日

【306】敬語表現⑥ちょっと脱線話でも・・・・

【306】敬語表現⑥ ちょっと脱線話でも・・・・

◎主語と目的語◎
敬語表現には
〔尊敬〕
〔謙譲〕
〔丁寧〕
の3通りの表現があり,
敬語表現が含まれる動詞の主語に対する敬意が〔尊敬〕であり,
敬語表現が含まれる動詞の目的語に対する敬意を〔謙譲〕であるということをこれまでに習いました。
この考え方は決して間違ってはいないのですが
じゃあ1つ考えてみてほしいのは

「主語」だの「目的語」だのを意識するようになったのっていつからでしょうか???
よくよく考えてみたら日本語の文法には「主語」はあっても「目的語」という文法用語は存在しません。
「目的語」という概念が頭の中に収まったのは英文法を学びだしてから・・・ではないでしょうか?
それ以前に現代の私たちは主語や目的語を正確に挿入して日本語文をつくっていますか?
主語や目的語を正確に挿入した日本語文で会話していますか?
おそらく「ノー」でしょう。
英語の感覚だと まずは主体(主語)を明らかにして(主体を宣言して) そして主体の動作(動詞)を表現していきます。 その動作の矛先(目的語)を明言します。
ところが日本語の感覚というのはまずは「動作」ありきなんですよね。 動作があるということはその主体(主語)や客体(目的語)はあるに決まっているのだけど そんなものいちいち表現しなくても「わかるでしょ~」という感覚なんですよね。

◎助動詞「る」「らる」に秘められた真実(!)◎
なんでこんな話をしだしたかというと
古文に使われている敬語動詞〔尊敬〕やら〔謙譲〕って
素の動詞(非敬語動詞)に戻してしまうと
実は「言う」「聞く」「見る」「思う」「行く」「来る」「いる」「食べる」「飲む」「着る」「乗る」「与える」「もらう」・・・・
くらいのもんで数えたことはないけど,たいした数ではない・・・・
な~んだ・・・それならかりに30種類としてもそれぞれに〔尊敬〕〔謙譲〕があるとして30×2=60種類の敬語を覚えればいいのか・・・・
と考えてしまいたくなるところですが
そうは問屋はおろさない。

①非敬語動詞1つに対して数個の敬語動詞がある

②敬語動詞1つに対して数個の非敬語動詞がある(意味がたくさんある)

③同じ言葉でも敬語動詞だったり補助動詞だったり,〔尊敬〕の意だったり〔謙譲〕の意だったりする

というわけなのでこれがまた厄介なのです。
すべてを「文法的に」解明しようとするとそれはまるで幾重もの糸がからまったものを解きほぐす作業みたいになってしまいます。

1つの敬語動詞で〔尊敬〕〔謙譲〕の意がある!!
なぜこんなことが起きるのが???
例えば「天皇が私に本を与える」という意の文を考えてみましょう。
英語で「天皇」を主語にすると
「Tennou gives me a book.」
英語「私」を主語にすると
「I am given (by Tennou)a book.」
いわゆる「受動態」というやつですね。
日本語(古語)で同じように考えると
「天皇」を主語にすると
「天皇,私に本を給ふ」
となり,「給ふ」の主語は「天皇」なんだからこの場合「給ふ」は(話者から)天皇への敬意で〔尊敬〕語~ということになる。
反対に「私」を主語にすると,英語と同じように「受動態」にしてみましょうか。日本語の受動態といえば〔受身〕の助動詞をつければいいのだから
〔受身〕の助動詞といえば「る」か「らる」となり「給ふ」はハ行四段動詞だから未然形は「給は」となり,四段の未然形ならば「る」をつけるだけでいいので,
「私,天皇より本を給はる」
となり,これはこれで「一件落着」・・・のはずなんだけど
もしも日本語が英語と同じように単語が1語ずつ区切って表記されていたならばこの話はこれだけで終わったのだろうけど
見方によればこの「給はる」が1語の動詞と見えなくもない。
話は戻ってこの「私,天皇より本を給はる」を「訳する」とどうなるか?
バカ正直に「受動態」風に解釈しようとすると「給は」+〔受身〕ととって「私は天皇によって本をお与えられる(ン?なんかヘンだな)」となるけど
それよりは上手に意訳して「私は天皇から本をいただく」と「意訳」したほうがしっくりくる。
じゃあそれならば「給はる」を1語とみて「いただく」という〔謙譲〕語とすれば合理的でしょ!となる。
ところがどっこいこの「る」「らる」には〔尊敬〕の意の助動詞でもあったりする。
「給ふ」をもっと「尊敬」してやろうとすると
「給は」+「る」となっての「給はる」なんだけどこれもまとめてみれば1語の動詞にみえなくもない。

かくして
「 たまはる ( 賜る ) 」[ ラ四 ]( ←「 受く 」の〔謙譲〕版 )
→『 いただく 』

「 たまはる ( 賜る ) 」[ ラ四 ]( ←「 与ふ 」の〔尊敬〕版 )
→『 お与えになる 』
(鎌倉時代以降)

・・・なんてことになるわけです。

では,そもそもの発端はどこに原因があるのでしょうか?


これはわたしの考えだけかもしれないけど,多分・・・・
敬意の対象とは恐怖と賞賛の対象そのものなので,「る」「らる」に
「なんかされてしまうのではないか?(畏怖→受身)」と
「うわーなんかしているよ!(賞賛→尊敬)」
という2つの意味がこめられている
・・・という感覚があり
これを「文法的」に解釈しようとすると
〔尊敬〕の敬語動詞に〔受身〕の意をこめればそれは主語をかえた〔謙譲〕の意となり
〔尊敬〕の敬語動詞にさらに〔尊敬〕の意をこめればそれはそのままさらなる〔尊敬〕となる現象が起きるわけです。

でも実は当時の感覚としては
そんな面倒くさい「文法的解釈」なんて考えていない。(そもそも国文法について最初に研究したのはずっと時代が下って本格的な文法体系書は本居宣長によるものらしいですから・・・)
「まずは動詞ありき」の日本語世界なので
敬意の対象が登場するならまず「敬語ありき」!
〔受身〕も〔尊敬〕も同じ感覚!
誰から誰へなんていわなくてもわかるでしょ~!
主語?目的語?ナニソレオイシイノ?
書き言葉にするならば適宜主語やら目的語を付ければいいじゃん
こんなもんだったのでしょう。

◎追記◎
助動詞「る」「らる」についていろいろ述べたけど,
詳細は省きますが(というか筆者自身がまだよくわかっていないというのが本音だけど,笑笑)
これと同じような感覚は「す」「さす」にもあるといえるでしょう。(こっちは〔使役〕との兼ね合いで〔受身〕とはまったく正反対なところが面白いところです)
ただ,前に助動詞のところにアップしたものをもう一度ここに再登場させてみます。

「る」
未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 接続 意味
るる るれ れよ 〔受身〕 〔可能〕 〔自発〕 〔尊敬〕
※四段・ナ変・ラ変の未然形に接続,それ以外には接続しない→要するに語尾が「a」音の動詞の未然形接続
「らる」
未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 接続 意味
られ られ らる らるる らるれ られよ 〔受身〕 〔可能〕 〔自発〕 〔尊敬〕
※四段・ナ変・ラ変以外の未然形に接続,それ以外には接続しない→要するに語尾が「a」音でない動詞の未然形に接続
接続関係以外に「る」と「らる」で異なることはない。もっとはっきりいってしまえば「らる」の方は語尾が「a」音以外の動詞に「a」音(「ら」)を補って「らる」の形になっていると考えてもよい。現代において起きているいわゆる「ら」抜き言葉とは四段・ナ変・ラ変(→現代ではすべて五段)動詞以外の動詞の未然形に接続するとき補うべきこの「ら」音が抜けている現象をいう。このようにかんがえてみると意外とそれは助動詞「らる」の「る」への原点回帰といえるかもしれない(笑)。

「す」
未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 接続 意味
する すれ せよ 〔使役〕 〔尊敬〕
※四段・ナ変・ラ変の未然形に接続,それ以外には接続しない→要するに語尾が「a」音の動詞の未然形接続
「さす」
未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 接続 意味
させ させ さす さする さすれ させよ 〔使役〕 〔尊敬〕
※四段・ナ変・ラ変以外の未然形に接続,それ以外には接続しない→要するに語尾が「a」音でない動詞の未然形に接続
接続関係以外に「す」と「さす」で異なることはない。もっとはっきりいってしまえば「さす」の方は語尾が「a」音以外の動詞に「a」音(「さ」)を補って「さす」の形になっていると考えてもよい。現代においてラ抜現象と同じようなサ抜現象はまだ起きていない・・・・・が,「食べさせる」を「食べせる」なんてことがもしかしたら今後流行るかもしれない(笑)。

長々と引用しましたが,接続関係に(なんとなく)共通性がありますよね。

「る(らる」と「す(さす)」には
相共通する根底には「畏怖」があり片方はそこから〔受身〕が派生しもう片方は〔使役〕が派生し,それが〔尊敬〕で融合する!

・・・・みたいな感覚になるのはわたしだけでしょうか?
脱線終わり。