「 あそばす ( 遊ばす ) 」[ サ四 ]( ←「 為す 」の〔尊敬〕版 ) →『 (いろいろな動作を入れて)~なさる 』 「 あそばす ( 遊ばす ) 」[ サ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 お~なさる 』 「 あそばす ( 遊ばす ) 」[ サ四 ]( ←「 遊ぶ 」の〔尊敬〕版 ) →『 お楽しみになる 』 「 いでおはします ( 出で御座します ) 」[ サ四 ]( ←「 出で行く」,「出て来(く) 」の〔尊敬〕版 ) →『 出ていらっしゃる』,『おうまれになる 』 「 いでます ( 出で座す ) 」[ サ四 ]( ←「 出づ」,「行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる』,『おいでになる』,『おられる 』 「 いまさうず ( 坐さうず ) 」[ サ変 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 ~しておいでになる 』 「 いまさうず ( 坐さうず ) 」[ サ変 ]( ←「 あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる 』 「 います ( 坐す,在す ) 」[ サ変 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 (連用形,名詞+「て」に接続して)~しておいでになる 』 「 います ( 坐す,在す ) 」[ サ下二 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 (連用形に接続して)~ていらっしゃるようにさせる,~おいでにならせる 』 「 います ( 坐す,在す ) 」[ サ変 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる』,『おでかけになる』,『おいでになる 』 「 いますがり ( 在すがり ) 」[ ラ変 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 (連用形,〔断定〕の「なり」の連用形「に」+助詞「て」に接続して)~でいらっしゃる 』 「 いますがり ( 在すがり ) 」[ ラ変 ]( ←「 あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる 』 「 うけたまはる ( 承る ) 」[ ラ四 ]( ←「 受く」,「聞く 」の〔謙譲〕版 ) →『 いただく』,『うかがう』,『ご承諾申し上げる 』 「 えっす ( 謁す ) 」[ サ変 ]( ←「 会ふ 」の〔謙譲〕版 ) →『 お目にかかる 』 「 おしゃんす 」[ サ変 ]( ←「 言ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 おっしゃいます 』 (近世の上方語) 「 おしゃる ( 仰しゃる ) 」[ ラ下二 ]( ←「 言ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 おっしゃる 』 「 おしゃる ( 仰しゃる ) 」[ ラ四 ]( ←「 言ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 おっしゃる 』 「 おぢゃる 」[ ラ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 ~でいらっしゃる 』 (中世以降の言葉) 「 おぢゃる 」[ ラ四 ]( ←「 行く」,「来(く) 」の〔丁寧〕版 ) →『 いらっしゃる 』 (中世以降の言葉) 「 おぢゃる 」[ ラ四 ]( ←「 あり」,「居(を)り 」の〔尊敬〕版 ) →『 ございます 』 (中世以降の言葉) 「 おはさうず 御座さうず 」[ サ変 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 ~いらっしゃる』,『~でおいでになる 』 「 おはさうず 御座さうず 」[ サ変 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる』,『おでかけになる』,『おいでになる 』 (主語は複数) 「 おはさふ ( 御座さふ ) 」[ ハ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 ~していらっしゃる 』 「 おはさふ ( 御座さふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる』,『おいでになる 』 「 おはしあふ ( 御座し合ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 ゐ合ふ」,「来合ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 居合わせていらっしゃる 』 「 おはしまさふ ( 御座しまさふ ) 」[ ハ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 ~していらっしゃる 』 (主語は複数・「おはしあふ」<「おはしましあふ」) 「 おはしまさふ ( 御座しまさふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる』,『おいでになる 』 (主語は複数) 「 おはしましあふ ( 御座しまし合ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる』,『おいでになる 』 (主語は複数) 「 おはしましつく ( 御座しまし着く ) 」[ ハ四 ]( ←「 行き着く」,「ゐつく 」の〔尊敬〕版 ) →『 ご到着になる』,『ご滞在になる 』 「 おはします ( 御座します ) 」[ サ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 (連用形,〔断定〕の「なり」の連用形「に」+助詞「て」に接続して)~でいらっしゃる 』 「 おはします ( 御座します ) 」[ サ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる』,『おいでになる 』 「 おはす ( 御座す ) 」[ サ変 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 (連用形,〔断定〕の「なり」の連用形「に」+助詞「て」に接続して)~でいらっしゃる 』 「 おはす ( 御座す ) 」[ サ変 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる』,『おいでになる 』 「 おほす ( 仰す ) 」[ サ下二 ]( ←「 言ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 おっしゃる』,『言いつける 』 「 おほせいたす ( 仰せ出だす ) 」[ サ四 ]( ←「 言ひ出だす 」の〔尊敬〕版 ) →『 ご命令になる 』 「 おほせくだす ( 仰せ下す ) 」[ サ四 ]( ←「 言ひ下す 」の〔尊敬〕版 ) →『 ご命令になる 』 「 おほせつく ( 仰せ付く ) 」[ カ下二 ]( ←「 言ひ付く 」の〔尊敬〕版 ) →『 ご命令になる 』 「 おほとなぶらまゐる(←おおとのあぶらまゐる) ( 大殿油参る ) 」[ ラ四 ]( ←「 ・・・ 」の〔尊敬〕版 ) →『 御殿の灯火をおつけになる 』 「 おほとのごもる ( 大殿籠る ) 」[ ラ四 ]( ←「 寝(ぬ) 」の〔尊敬〕版 ) →『 おやすみになる 』 「 おほまします ( 大座します ) 」[ サ四 ]( ←「 あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 おいでになられる 』 「 およる ( 御寝る ) 」[ ラ四 ]( ←「 寝(ぬ) 」の〔尊敬〕版 ) →『 おやすみになる 』 「 おりゃる 」[ ラ四 ]( 補助動詞〔丁寧〕,補助動詞〔尊敬〕 ) →『 ~でいらっしゃる』,『~でございます 』 「 おりゃる 」[ ラ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる』,『おいでになる』,『おられる 』 「 ぎょしんなる ( 御寝成る ) 」[ ラ四 ]( ←「 寝(ぬ) 」の〔尊敬〕版 ) →『 おやすみになる 』 「 くださる 」[ 連語 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 (連用形,連用形+「て」に接続して)~くださる 』 「 くださる 」[ 連語 ]( ←「 もらふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 いただく 』 「 くださる 」[ 連語 ]( ←「 与ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 お与えになる 』 「 けいす ( 啓す ) 」[ サ変 ]( ←「 言ふ 」の〔謙譲〕版 ) →『 申し上げる 』 「 けす ( 着す,著す ) 」[ サ四 ]( ←「 着る 」の〔尊敬〕版 ) →『 お召しになる 』 →(上代語) 「 けんず ( 献ず ) 」[ サ変 ]( ←「 与ふ 」の〔謙譲〕版 ) →『 差し上げる』,『献上する 』 「 ごんす 」[ サ変 ]( 補助動詞〔丁寧〕 ) →『 ~であります』,『~でございます 』 「 ごんす 」[ サ変 ]( ←「 来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる』,『ございます 』 (敬意は低い) 「 こうず ( 薨ず ) 」[ サ変 ]( ←「 死ぬ 」の〔尊敬〕版 ) →『 おなくなりになる 』 (三位以上の人への敬意) 「 こざあり ( 御座有り ) 」[ ラ変 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 ~でいらっしゃる 』 「 こざあり ( 御座有り ) 」[ ラ変 ]( ←「 あり」,「居(を)り 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる』,『おいでになる 』 「 ござさうらふ ( 御座候ふ ) 」[ ハ四 ]( 補助動詞〔丁寧〕 ) →『 ~でいらっしゃいます 』 「 ござさうらふ ( 御座候ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 あり」,「居(を)り 」の〔丁寧〕版 ) →『 いらっしゃいます』,『ございます 』 「 ござる 」[ ラ四 ]( 補助動詞〔丁寧〕 ) →『 ~であります』,『~でございます 』 「 ござる 」[ ラ四 ]( ←「 あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 あります』,『ございます 』 「 ござる 」[ ラ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「居る 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる 』 「 こやす ( 臥やす ) 」[ サ四 ]( ←「 臥ゆ(こゆ) 」の〔尊敬〕版 ) →『 横におなりになる 』 (死者が横たわっていることについて婉曲表現として使うことが多い) 「 ごらんじあはす ( 御覧じ合はす ) 」[ サ下二 ]( ←「 見合わす 」の〔尊敬〕版 ) →『 目をお向けになる 』 「 ごらんじいる ( 御覧じ入る ) 」[ サ下二 ]( ←「 見入る 」の〔尊敬〕版 ) →『 注意して御覧になる』,『心にとめてお世話なさる』,『召し上がる 』 「 ごらんじしる ( 御覧じ知る ) 」[ ラ四 ]( ←「 見知る 」の〔尊敬〕版 ) →『 御覧になっておわかりになる 』 「 ごらんじつく ( 御覧じ付く ) 」[ カ下二 ]( ←「 見付く 」の〔尊敬〕版 ) →『 お見つけになる』,『目におとめになる 』 「 ごらんじつく ( 御覧じ付く ) 」[ カ四 ]( ←「 見付く 」の〔尊敬〕版 ) →『 見慣れていらっしゃる 』 「 ごらんじとがむ ( 御覧じ咎む ) 」[ マ下二 ]( ←「 見咎む 」の〔尊敬〕版 ) →『 見てお気づきになる』,『見咎めなさる 』 「 ごらんじはつ ( 御覧じ果つ ) 」[ タ下二 ]( ←「 見果つ 」の〔尊敬〕版 ) →『 最後までお見届けになる』,『残らず御覧になる 』 「 ごらんじゆるす ( 御覧じ許す ) 」[ サ四 ]( ←「 見許す 」の〔尊敬〕版 ) →『 大目に見なさる』,『お見逃しになる 』 「 ごらんず ( 御覧ず ) 」[ サ変 ]( ←「 見る 」の〔尊敬〕版 ) →『 御覧になる 』 「 さします 」[ サ四 ]( ←「 為す 」の〔尊敬〕版 ) →『 なさる 』 「 させたまふ ( させ給ふ ) 」[ 連語 ]( ←「 「さす」〔使役〕+補助動詞「給ふ」 ) →『 ~おさせになる 』 「 させたまふ ( させ給ふ ) 」[ 連語 ]( ←「 「さす」〔尊敬〕+補助動詞「給ふ」 ) →『 お~になる 』 (非常に高い尊敬) 「 さっしやる 」[ 特殊 ]( ←「 為す 」の〔尊敬〕版 ) →『 なさる 』 (サ変動詞「す」の未然形+「さす」〔尊敬〕+「らる」〔尊敬〕,近世語) 未然形「さっしゃら」「さっしゃれ」「さっしゃろ」 連用形「さっしゃり」「さっしゃつ」「さっしゃれ」「さっしゃい」 終止形「さっしゃる 連体形「さっしゃる」 已然形「さっしゃれ」「さっしゃるれ」 命令形「さっしゃれ」「さっしゃれい」 「 さんず ( 参ず ) 」[ サ変 ]( ←「 行く 」の〔謙譲〕版 ) →『 参上する』,『参る 』 「 さんず ( 散ず ) 」[ サ変 ]( 非敬語 ) →『 散る』,『退散する 』 「 しらしめす ( 知らしめす,領らしめす ) 」[ サ四 ]( ←「 知る 」の〔尊敬〕版 ) →『 お治めになる 』 「 しらす ( 知らす,領らす ) 」[ サ四 ]( ←「 知る 」の〔尊敬〕版 ) →『 お治めになる(上代) 』 「 しろしめす ( 知ろしめす,領ろしめす ) 」[ サ四 ]( ←「 知る 」の〔尊敬〕版 ) →『 お治めになる』,『知っていらっしゃる 』 「 せたまふ ( せ給ふ ) 」[ 連語 ]( ←「 「す」〔使役〕+補助動詞「給ふ」 ) →『 ~おさせになる 』 「 せたまふ ( せ給ふ ) 」[ 連語 ]( ←「 「す」〔尊敬〕+補助動詞「給ふ」 ) →『 お~になる 』 (非常に高い尊敬) 「 そうす ( 奏す ) 」[ サ変 ]( ←「 言ふ 」の〔謙譲〕版 ) →『 (天皇・上皇・法皇に)申し上げる』,(敬語とは別に)『音楽を演奏する 』 「 たうばる,たばる ( 賜る ) 」[ ラ四 ]( ←「 受く 」の〔謙譲〕版 ) →『 いただく 』 「 つかうまつる ( 仕う奉る ) 」[ ラ四 ]( ←「 仕ふ」,「す」,「行ふ」,「作る 」の〔謙譲〕版 ) →『 お仕えもうしあげる』,『(なにかを)して差し上げる 』 「 つかうまつる ( 仕う奉る ) 」[ ラ四 ]( 補助動詞〔謙譲〕 してさしあげる 』 「 つかはす ( 遣はす ) 」[ サ四 ]( ←「 遣る」,「与ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 お遣わしになる』,『お与えになる 』 「 つかへまつる ( 仕へ奉る ) 」[ ラ四 ]( ←「 仕ふ」,「す」,「行ふ」,「作る 」の〔謙譲〕版 ) →『 お仕え申し上げる』,『(なにかを)してさしあげる 』 「 とのごもる ( 殿隠る,殿籠る ) 」[ ラ四 ]( ←「 死ぬ」,「寝(ぬ) 」の〔尊敬〕版 ) →『 お隠れになる』,『おやすみになる 』 「 なす ( 寝す ) 」[ ラ四 ]( ←「 寝(ぬ 」の〔尊敬〕版 ) →『 おやすみになる 』 「 まうしあはす ( 申し合はす ) 」[ サ下二 ]( ←「 言ひ合はす 」の〔謙譲〕版 ) →『 相談申し上げる 』 「 まうしいづ ( 申し出づ ) 」[ ダ下二 ]( ←「 言ひ出づ 」の〔謙譲〕版 ) →『 自分から申し出る 』 「 まうしうく ( 申し受く ) 」[ カ下二 ]( ←「 言ひ受く 」の〔謙譲〕版 ) →『 (許可を)お願い申し上げる』,『願い出てお引き受けする 』 「 まうしつぐ ( 申し次ぐ ) 」[ ガ四段 ]( ←「 言ひ次ぐ 」の〔謙譲〕版 ) →『 取次ぎ申し上げる 』 「 まうしつたふ ( 申し伝ふ ) 」[ ハ下二 ]( ←「 言ひ伝ふ 」の〔謙譲〕版 ) →『 お伝え申し上げる』,『取次ぎ申し上げる』,『語り継ぎもうしあげる 』 「 まうしひらく ( 申し開く ) 」[ カ四 ]( ←「 言ひ開く 」の〔謙譲〕版 ) →『 弁明申し上げる 』 「 まうしむつぶ ( 申し睦ぶ ) 」[ バ上二 ]( ←「 言ひ睦ぶ 」の〔謙譲〕版 ) →『 親しくおつきあいもうしあげる 』 「 まうす ( 申す ) 」[ サ四 ]( 補助動詞〔謙譲〕 ) →『 ~申し上げる 』 「 まうす ( 申す ) 」[ サ四 ]( ←「 言ふ」,「願ふ」,「す 」の〔謙譲〕版 ) →『 申し上げる』,『お願いする』,『(なにかを)してさしあげる 』 「 まします ( 坐します ) 」[ サ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 (連用形,連用形+「て」に接続して)していらっしゃる 』 「 まします ( 坐します ) 」[ サ四 ]( ←「 あり 」の〔謙譲〕版 ) →『 いらっしゃる』,『おいでになる 』 「 まみゆ ( 見ゆ ) 」[ ヤ下二 ]( ←「 会ふ」,「見(み)ゆ 」の〔謙譲〕版 ) →『 お目にかかる』,『お会いする 』 「 みそなはす ( 見そなはす ) 」[ サ変 ]( ←「 見る 」の〔尊敬〕版 ) →『 御覧になる 』 「 みまそがり 」[ ラ変 ]( ←「 あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる』,『おいでになる 』 「 めさる ( 召さる ) 」[ サ下二 ]( ←「 す 」の〔尊敬〕版 ) →『 (なにかを)なさる 』 「 めさる ( 召さる ) 」[ サ下二 ]( 補助動詞〔尊敬〕 →『 ~なさる 』 「 めす ( 召す ) 」[ サ四 ]( 呼ぶ」,「取り寄す」,「食ふ」,「飲む」,「着る」,「乗る 」の〔尊敬〕版 ) →『 お呼びになる』,『お取り寄せになる』,『召し上がる』,『お召しになる』,『お乗りになる 』 「 めす ( 見す,看す ) 」[ サ四 ]( 見る」,「治む 」の〔尊敬〕版 ) →『 御覧になる』,『お治めになる 』 「 もてまゐる ( 持て参る ) 」[ 連語 ]( ←「 (持参する)の意 」の〔謙譲〕版 ) →『 もって参上する』,『差し上げる 』 「 ものきこゆ ( もの聞こゆ ) 」[ ヤ下二 ]( ←「 物言ふ 」の〔謙譲〕版 ) →『 お話申し上げる 』 「 わす(座す) ( 座す ) 」[ サ四 ]( ←「 あり」,「来(く 」の〔尊敬〕版 ) →『 いらっしゃる』,『おいでになる 』 「 わたらせたまふ ( 渡らせ給ふ ) 」[ 連語 ]( ←「 渡る」,「行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版 ) →『 お渡りになる』,『いらっしゃる 』 (「わたる」の未然形+「す」〔尊敬〕の連用形+「たまふ」 「 をす ( 食す ) 」[ サ四 ]( ←「 飲む」,「食ふ」,「(身に)着く」,「治む 」の〔尊敬〕版 ) →『 召し上がる』,『お召しになる』,『お治めになる 』 |
き~りの古文攻略法
2013年7月29日月曜日
【312】敬語表現最終回(ヒマがあれば覚えておきたい敬語一覧)
2013年7月19日金曜日
【311】敬語表現⑪「おぼす」一族オンパレード
【311】敬語表現⑪「おぼす」一族オンパレード |
◎今回登場の敬語◎ |
「 おもほす ( 思ほす ) 」[ サ四 ]( ←「 思ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 お思いになる 』 「 おもほしめす ( 思ほし召す ) 」[ サ四 ]( ←「 思ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 お思いになる 』 「 おぼす ( 思す ) 」[ サ四 ]( ←「 思ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 お思いになる 』 「 おぼしめす ( 思し召す ) 」[ サ四 ]( ←「 思ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 お思いになる 』 「 おぼしおどろく ( 思し驚く ) 」[ カ四 ]( ←「 思ひ驚く 」の〔尊敬〕版 ) →『 お驚きになる 』 「 おぼしかく ( 思し掛く ) 」[ カ下二 ]( ←「 思ひ掛く 」の〔尊敬〕版 ) →『 気におかけになる』,『予想される 』 「 おぼしかしづく ( 思し傅く ) 」[ カ四 ]( ←「 思ひ傅く 」の〔尊敬〕版 ) →『 大切に思ってお育てになる 』 「 おぼしかずまふ ( 思し数まふ ) 」[ ハ下二 ]( ←「 思ひ数まふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 人並みの中に数えてお扱いになる 』 「 おぼしかまふ ( 思し構ふ ) 」[ ハ下二 ]( ←「 思ひ構ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 心の中で計画する』,『ひそかにおたくらみになる 』 「 おぼしくづほる ( 思し頽る ) 」[ ラ下二 ]( ←「 思ひ頽る 」の〔尊敬〕版 ) →『 がっかりなさる』,『悲観なさる 』 「 おぼしけつ ( 思し消つ ) 」[ タ四 ]( ←「 思ひ消つ 」の〔尊敬〕版 ) →『 無理にお忘れになる』,『無視なさる 』 「 おぼしさだむ ( 思し定む ) 」[ マ下二 ]( ←「 思ひ定む 」の〔尊敬〕版 ) →『 考えてお決めになる 』 「 おぼしさわぐ ( 思し騒ぐ ) 」[ ガ四 ]( ←「 思ひ騒ぐ 」の〔尊敬〕版 ) →『 思い乱れて落ち着かなくおなりになる 』 「 おぼししづむ ( 思し沈む ) 」[ マ下二 ]( ←「 思ひ慎む 」の〔尊敬〕版 ) →『 気を落ち着けていらっしゃる 』 「 おぼししづむ ( 思し沈む ) 」[ マ四 ]( ←「 思ひ沈む 」の〔尊敬〕版 ) →『 気がふさいでいらっしゃる 』 「 おぼししむ ( 思し染む ) 」[ マ下二 ]( ←「 思し染む 」の〔尊敬〕版 ) →『 深く思い込みなさる 』 「 おぼししむ ( 思し染む ) 」[ マ四 ]( ←「 思し染む 」の〔尊敬〕版 ) →『 心にしみてお思いなさる 』 「 おぼししる ( 思し知る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思し知る 」の〔尊敬〕版 ) →『 理解なさる』,『なるほどとお思いなさる 』 「 おぼしすつ ( 思し捨つ ) 」[ タ下二 ]( ←「 思し捨つ 」の〔尊敬〕版 ) →『 心にかけるのをおやめになる』,『お見捨てになる 』 「 おぼしたつ ( 思し立つ ) 」[ タ四 ]( ←「 思ひ立つ 」の〔尊敬〕版 ) →『 考えを起こされる』,『決心なさる 』 「 おぼしつつむ ( 思し包む ) 」[ マ四 ]( ←「 思ひ包む 」の〔尊敬〕版 ) →『 ご遠慮なさる』,『他人に知られないようになさる 』 「 おぼしとがむ ( 思し咎む ) 」[ マ下二 ]( ←「 思ひ咎む 」の〔尊敬〕版 ) →『 不審にお思いになる』,『変だとお気づきになる 』 「 おぼしとどむ ( 思し止む ) 」[ マ下二 ]( ←「 思ひ止む 」の〔尊敬〕版 ) →『 断念なさる』,『記憶なさる 』 「 おぼしとる ( 思し取る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ取る 」の〔尊敬〕版 ) →『 心にお悟りになる』,『決心なさる 』 「 おぼしなげく ( 思し嘆く ) 」[ カ四 ]( ←「 思ひ嘆く 」の〔尊敬〕版 ) →『 悲しくお思いになる 』 「 おぼしなす ( 思し為す ) 」[ サ四 ]( ←「 思ひ為す 」の〔尊敬〕版 ) →『 思い込みなさる 』 「 おぼしなやむ ( 思し悩む ) 」[ マ四 ]( ←「 思ひ悩む 」の〔尊敬〕版 ) →『 気にかけてお悩みになる 』 「 おぼしなる ( 思し成る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ成る 」の〔尊敬〕版 ) →『 だんだん思うようにおなりになる 』 「 おぼしのたまふ ( 思し宣ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 思ひ言う 」の〔尊敬〕版 ) →『 お思いになりおっしゃる』,『お考えをお述べになる 』 「 おぼしはなつ ( 思し放つ ) 」[ タ四 ]( ←「 思ひ放つ 」の〔尊敬〕版 ) →『 思いをお捨てになる』,『思い切ってしまわれる 』 「 おぼしはなる ( 思し離る ) 」[ ラ下二 ]( ←「 思ひ離る 」の〔尊敬〕版 ) →『 心がお離れになる』,『お考えにならなくなる 』 「 おぼしはばかる ( 思し憚る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ憚る 」の〔尊敬〕版 ) →『 気兼ねなさる』,『ご遠慮なさる 』 「 おぼしへだつ ( 思し隔つ ) 」[ タ下二 ]( ←「 思ひ隔つ 」の〔尊敬〕版 ) →『 心に隔てをお置きになる』,『よそよそしくなさる 』 「 おぼしまうく ( 思し設く ) 」[ カ下二 ]( ←「 思ひ設く 」の〔尊敬〕版 ) →『 前々から考えておききになる』,『予期なさる 』 「 おぼしまどふ ( 思し惑ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 思ひ惑ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 途方に暮れなさる 』 「 おぼしみだる ( 思し乱る ) 」[ ラ下二 ]( ←「 思ひ乱る 」の〔尊敬〕版 ) →『 あれこれとお悩みなさる 』 「 おぼしめぐらす ( 思し廻らす ) 」[ サ四 ]( ←「 思ひ廻らす 」の〔尊敬〕版 ) →『 あれこれとお考えになる 』 「 おぼしめしよる ( 思し召し寄る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ寄る 」の〔尊敬〕版 ) →『 考えるようになられる』,『気持ちを抱くようになられる 』 「 おぼしやすらふ ( 思し休らふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 思ひ休らふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 決心がつきかねていらっしゃる 』 「 おぼしやる ( 思し遣る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ遣る 」の〔尊敬〕版 ) →『 想像なさる』,『遠くのことをお思いになる 』 「 おぼしゆるす ( 思し許す ) 」[ サ四 ]( ←「 思ひ許す 」の〔尊敬〕版 ) →『 お許しになる 』 「 おぼしよる ( 思し寄る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ寄る 」の〔尊敬〕版 ) →『 思いつきなさる』,『思ひをお寄せになる 』 「 おぼしよわる ( 思し弱る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ弱る 」の〔尊敬〕版 ) →『 お心が弱りなさる』,『気持ちがくじけなさる 』 「 おぼしわく ( 思し分く ) 」[ カ四/カ下二 ]( ←「 思ひ分く 」の〔尊敬〕版 ) →『 判断なさる』,『理解なさる 』 「 おぼしわする ( 思し忘る ) 」[ カ下二 ]( ←「 思ひ忘る 」の〔尊敬〕版 ) →『 お忘れになる 』 「 おぼしわたる ( 思し渡る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ渡る 」の〔尊敬〕版 ) →『 思ひ続けていらっしゃる 』 「 おぼしわづらふ ( 思し煩ふ ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ煩ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 あれこれお悩みになる』,『思案にくれなさる 』 「 おぼしわぶ ( 思し侘ぶ ) 」[ バ上二 ]( ←「 思ひ侘ぶ 」の〔尊敬〕版 ) →『 気落ちなさる 』 「 おもほしいづ ( 思ほし出づ ) 」[ ダ下二 ]( ←「 思ひ出づ 」の〔尊敬〕版 ) →『 お思い出しになる 』 「 おぼしあつかふ ( 思し扱ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 思ひ扱ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 よく気をつけてお世話なさる』,『あれこれ考えて苦しまれる 』 「 おぼしあはす ( 思し合はす ) 」[ サ下二 ]( ←「 思ひ合はす 」の〔尊敬〕版 ) →『 お考え合わせになる』,『思い当たりなさる 』 「 おぼしいづ ( 思し出づ ) 」[ ダ下二 ]( ←「 思ひ出づ 」の〔尊敬〕版 ) →『 思い出しなさる 』 「 おぼしいる ( 思し入る ) 」[ ラ四 ]( ←「 思ひ入る 」の〔尊敬〕版 ) →『 深く心に思い込みなさる』,『深くお考えになる 』 「 おぼしうたがふ ( 思し疑ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 思ひ疑ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 疑わしくお思いになる 』 「 おぼしおきつ ( 思し掟つ ) 」[ タ下二 ]( ←「 思ひ掟つ 」の〔尊敬〕版 ) →『 心にお決めになさる』,『計画なさる 』 「 おぼしおく ( 思し置く ) 」[ カ四 ]( ←「 思ひ置く 」の〔尊敬〕版 ) →『 心に決めておかれる』,『あとに心を残される 』 「 おぼしおとす ( 思し貶す ) 」[ サ四 ]( ←「 思ひ貶す 」の〔尊敬〕版 ) →『 軽蔑なさる 』 |
◎解説◎ |
とくに「解説」するところでもないです。
「おもほす」,「おぼす」,「おもほしめす」,「おぼしめす」は絶対暗記してください。「~めす」となった場合は敬意が強まるのは他と同じです。 それ以外のものについては1語でも多く覚えたほうがよいでしょう。 |
【310】敬語表現⑩まぎらわしい表現「きこす」「きこゆ」「きこしめす」「きこえさす」など
【310】敬語表現⑩まぎらわしい表現「きこす」「きこゆ」「きこしめす」「きこえさす」など |
◎今回登場の敬語◎ |
「 きく ( 聞く ) 」[ サ四 ]( 非敬語 ) →『 聞く』,『(味わいを)試す』,『(香りを)かぐ 』 「 きこす ( 聞こす ) 」[ サ四 ]( ←「 聞く」,「言ふ 」の〔尊敬〕版 ) →『 お聞きになる』, →『おっしゃる 』 『おっしゃる』は上代語) 「 きこしめす ( 聞こし召す ) 」[ サ四 ]( ←「 聞く」,「聞き入る」,「治む」,「飲む・食ふ」 」の〔尊敬〕版 ) →『 お聞きになる』,『お聞きいれなさる』,『感心をおもちになる』,『お治めになる』,『召し上がる 』 「 きこゆ ( 聞こゆ ) 」[ ヤ下二 ]( 非敬語 ) →『 聞こえる』,『評判になる』,『理解できる 』 「 きこゆ ( 聞こゆ ) 」[ ヤ下二 ]( ←「 言ふ」,「呼ぶ 」の〔謙譲〕版 ) →『 申し上げる』,『お呼びする』,『(手紙などをさしあげる 』 「 きこゆ ( 聞こゆ ) 」[ ヤ下二 ]( 補助動詞〔謙譲〕 ) →『 ~申し上げる 』 「 きこえさす ( 聞こえさす ) 」[ サ下二 ]( ←「 言ふ 」の〔謙譲〕版 ) →『 申し上げる』,『手紙をさしあげる 』 「 きこえさす ( 聞こえさす ) 」[ サ下二 ]( 補助動詞〔謙譲〕 ) →『 ~し申し上げる 』 「 きこえさす ( 聞こえさす ) 」[ サ四 ]( ←「 言ひさす 」の〔謙譲〕版 ) →『 申し上げるのを途中でやめる 』 「 きこえさす ( 聞こえさす ) 」[ 連語 ]( 「聞こゆ」の未然形+「さす」〔使役〕 →『 申し上げさせる 』 「 きこえあはす ( 聞こえ合はす ) 」[ サ下二 ]( ←「 言ひ合はす 」の〔謙譲〕版 ) →『 互いに心の隔てなくお話申し上げる』,『ご相談申し上げる 』 「 きこえあふ ( 聞こえ合ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 言ひ合う 」の〔謙譲〕版 ) →『 口々に申し上げる』,『うわさ申し上げる 』 「 きこえいだす ( 聞こえ出だす ) 」[ サ四 ]( ←「 言ひ出だす 」の〔謙譲〕版 ) →『 (内から外にいる人に)申し上げる 』 「 きこえいなぶ ( 聞こえ否ぶ ) 」[ バ上二 ]( ←「 言ひ否ぶ 」の〔謙譲〕版 ) →『 断りを申し上げる』,『ご辞退申し上げる 』 「 きこえおく ( 聞こえ置く ) 」[ カ四 ]( ←「 言ひ置く 」の〔謙譲〕版 ) →『 前もって申し上げる』,『申し残しておく 』 「 きこえかかる ( 聞こえ掛かる ) 」[ ラ四 ]( ←「 言ひ掛かる 」の〔謙譲〕版 ) →『 言い寄りもうしあげる』,『話しかけもうしあげる 』 「 きこえかく ( 聞こえ掛く ) 」[ カ下二 ]( ←「 言ひ掛く 」の〔謙譲〕版 ) →『 言葉をかけもうしあげる 』 「 きこえかはす ( 聞こえ交はす ) 」[ サ四 ]( ←「 言ひ交はす 」の〔謙譲〕版 ) →『 互いに言葉をかわしもうしあげる』,『互いに手紙をさしあげ合う 』 「 きこえかへす ( 聞こえ返す ) 」[ サ四 ]( ←「 言ひ返す 」の〔謙譲〕版 ) →『 ご返答申し上げる』,『お断り申し上げる』,『反対申し上げる 』 「 きこえかよふ ( 聞こえ通ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 言ひ通ふ 」の〔謙譲〕版 ) →『 互いに手紙をさしあげる』,『言葉を交わしもうしあげる 』 「 きこえごつ ( 聞こえごつ ) 」[ タ四 ]( ←「 聞こえごつ 」の〔謙譲〕版 ) →『 申し上げる』,『わざと聞こえるように申し上げる 』 「 きこえしらす ( 聞こえ知らす ) 」[ サ下二 ]( ←「 言ひ知らす 」の〔謙譲〕版 ) →『 説明申し上げる』,『お話してお聞かせ申し上げる 』 「 きこえつく ( 聞こえ付く ) 」[ カ下二 ]( ←「 言ひ付く 」の〔謙譲〕版 ) →『 お頼み申し上げる 』 「 きこえつく ( 聞こえ付く ) 」[ カ四 ]( ←「 言ひ付く 」の〔謙譲〕版 ) →『 (心の中の思いを)申し上げて近づく 』 「 きこえつぐ ( 聞こえ継ぐ ) 」[ ガ四 ]( ←「 言ひ継ぐ 」の〔謙譲〕版 ) →『 お伝え申し上げる』,『取次ぎ申し上げる 』 「 きこえつたふ ( 聞こえ伝ふ ) 」[ ハ下二 ]( ←「 言ひ伝ふ 」の〔謙譲〕版 ) →『 語り伝え申し上げる』,『取りつぎ申し上げる 』 「 きこえなす ( 聞こえ倣す ) 」[ サ四 ]( ←「 言ひ倣す 」の〔謙譲〕版 ) →『 とりつくろって申し上げる 』 「 きこえやる ( 聞こえ遣る ) 」[ ラ四 ]( ←「 言ひ遣る 」の〔謙譲〕版 ) →『 お伝え申し上げる』,『すらすら申し上げる 』 「 きこしめしあはす ( 聞こし召し合はす ) 」[ サ下二 ]( ←「 聞き合はす 」の〔尊敬〕版 ) →『 お聞き合わせなさる 』 「 きこしめしいる ( 聞こし召し入る ) 」[ ラ下二 ]( ←「 聞き入る 」の〔尊敬〕版 ) →『 お聞き届けなさる 』 「 きこしめしつく ( 聞こし召し付く ) 」[ カ下二 ]( ←「 聞き付く 」の〔尊敬〕版 ) →『 お聞き及びになる 』 「 きこしをす ( 聞こし食す ) 」[ サ四 ]( ←「 ・・・ 」の〔尊敬〕版 ) →『 お治めあそばす 』 |
◎解説◎ |
まずは,非敬語としての「きく(聞く)」,「きこゆ(聞こゆ)」の意味を把握しましょう。
「きく(聞く)」は,積極的に五感にうったえてなにかを感じ取ろうという意思(→『聞く』,『(味わいを)試す』,『(香りを)かぐ』)の意であり, 「きこゆ(聞こゆ)」は,消極的に五感が外からのものに対して感じる状態(→『聞こえる』,『評判になる』,『理解できる』)の意です。 「きこす(聞こす)」は「きく(聞く)」の〔尊敬〕版で, 「きこしめす(聞こし召す)」はさらに尊敬の意が強くなったものであると同時に『召し上がる』,『お治めになる』という意が追加されます。 「きこす(聞こす)」から派生するものとして, 「 きこしめしあはす ( 聞こし召し合はす ) 」 , 「 きこしめしいる ( 聞こし召し入る ) 」 , 「 きこしめしつく ( 聞こし召し付く ) 」 , 「 きこしをす ( 聞こし食す ) 」があります。 さて,また例によって脱線するけど, これまで何度も言ってきましたが, |
日本語(古文を含む)の世界は「まずは動詞ありき!」 |
なのです。 |
「主語」?「目的語」?ナニソレオイシイノ? |
~という感覚なので,英語のように主語と目的語を入れ替えたら「受動態」にしよう!という発想があまりなく,
とりわけ「敬語」がからみだすと,そのあたりの感覚がかなりルーズになります。 敬意の対象があまりにもおそれおおくてそういう細かい感覚がマヒしてしまうのでしょう。 昔の貴族たちの日常会話の肉声が保存されているわけでもないので,推測でしかないわけですが, ともかく「そういう時代だったんだ」と思っておいて間違いないはずです。 |
さて,なんでこういう話をしたかというと
「きこゆ(聞こゆ)」にはもともと単純に『聞こえる』という意味の動詞なわけです。 消極的に外からのものを五感が感じる状態なわけですから, それはたとえば虫の声だったり,小川のせせらぎだったり, 現代でいえば,エアコンの音,自動車の音・・・を五感が感じるということなわけです。 ところが,これが偉い人からみれば偉くない人がなにやらあーだこーだいっているのが 「きこゆ(聞こゆ)」(→『聞こえる』)ような場合,偉い人からみればたしかに『聞こえる』んだけど, 偉くない人からみれば反対に『申し上げる』ということになる。 これば英語の感覚だとここに主語目的語の逆転があるのだから「きこゆ(聞こゆ)」を受動態にして~ なんてなるんだけど,それがない。 「きこゆ(聞こゆ)」のままで『申し上げる』という意味になる。 だもんだから,「いふ(言ふ)」の〔謙譲〕版ということにもなる。 意味としてはそこから派生して『お呼びする』,『手紙などをさしあげる』が追加され, 用法としては前に動詞などをくっつけて補助動詞〔謙譲〕の役割も追加される。 さらには・・・ もともと「きこゆ(聞こゆ)」に「さす」〔尊敬〕をつけた形の「きこえさす」は 自然と耳にはいってくる状態に〔尊敬〕の意味を加味したものだと考えれば 『自然とお耳に入っていらっしゃる』偉い人に対して『申し上げる』ことになるのだから 「きこえさす」自体に〔謙譲〕の敬語動詞(→『申し上げる』)の役割が生まれ, さらには補助動詞〔謙譲〕(→『~申し上げる』)の役割も追加される。 もっとも「きこゆ(聞こゆ)」に「さす」〔尊敬〕をつけて「きこえさす」となる場合は 必ず下に「給ふ」があり,「きこえさせ給ふ」となり, このときの「きこゆ(きこえ)」は『申し上げる』の意となり, 全体として『申し上げなさる』という意味になる。(『お聞きになる』とはならない) 「さす」〔尊敬〕があれば「さす」〔使役〕もあるのは必定。(この感覚はこれまで何度もやっていますね) この場合は,「きこえさす」で『申し上げさせる』となる。(『聞かせる』とはならない) そして,敬語とは関係ないけど, 「言ひさす」という動詞があり,これは『言うのを途中でやめる』という意味になる。 「さす」には『中断する』という意味がある。 この「言ひさす」の「言ふ」を〔謙譲〕にすると「きこゆ(聞こゆ)」になり, 全体として「きこえさす」になり,『申し上げるのを途中でやめる』という意になる。 このようないろんな事情があって, 「きこえさす」には 『 申し上げる 』 , 『 手紙をさしあげる 』 , 『 ~し申し上げる 』 , 『 申し上げるのを途中でやめる 』 , 『 申し上げさせる 』 という意味がある。(いろいろあって複雑ですが) |
◎結論◎ |
長々とお読みいただきましてありがとうございました。
要するに・・・といえば |
「きこす(聞こす)」は『お聞きになる』という〔尊敬〕語,
「きこしめす(聞こし召す)」は「きこす」より強い〔尊敬〕語, 「きこゆ(聞こゆ)」は本来的にはただの『聞く』だけど, 敬語となると『申し上げる』,『(~して)申し上げる』という〔謙譲〕語 「きこえさす」は厄介なので一応の理解をした上『申し上げる』,『申し上げさせる』,『申しあげるのを途中でやめる』,『(~して)申し上げる』,『手紙をさしあげる』で丸暗記!! |
他に「きこゆ(聞こゆ」から派生した
「 きこえあはす ( 聞こえ合はす )」 , 「 きこえあふ ( 聞こえ合ふ )」 , 「 きこえいだす ( 聞こえ出だす )」 , 「 きこえいなぶ ( 聞こえ否ぶ )」 , 「 きこえおく ( 聞こえ置く )」 , 「 きこえかかる ( 聞こえ掛かる )」 , 「 きこえかく ( 聞こえ掛く )」 , 「 きこえかはす ( 聞こえ交はす )」 , 「 きこえかへす ( 聞こえ返す )」 , 「 きこえかよふ ( 聞こえ通ふ )」 , 「 きこえごつ ( 聞こえごつ )」 , 「 きこえしらす ( 聞こえ知らす )」 , 「 きこえつく ( 聞こえ付く )」 , 「 きこえつく ( 聞こえ付く )」 , 「 きこえつぐ ( 聞こえ継ぐ )」 , 「 きこえつたふ ( 聞こえ伝ふ )」 , 「 きこえなす ( 聞こえ倣す )」 , 「 きこえやる ( 聞こえ遣る )」 ~についてはできれば1語でも多く覚えておきましょう。 |
2013年7月17日水曜日
【309】敬語表現⑨まぎらわしい表現「はべり」「さうらふ(さぶらふ)」
【309】敬語表現⑨まぎらわしい表現「はべり」「さうらふ(さぶらふ)」・・・ |
◎今回登場の敬語◎ |
「 はべり ( 侍り ) 」[ ラ変 ]( ←「 あり」,「居(を)り 」の〔丁寧〕版 ) →『 あります』,『ございます 』 「 はべり ( 侍り ) 」[ ラ変 ]( 補助動詞〔丁寧〕 ) →『 ~ます』,『~でおります 』 「 はべり ( 侍り ) 」[ ラ変 ]( ←「 仕ふ 」の〔謙譲〕版 ) →『 おそばにいる』,『お仕えする 』 「 さうらふ,さぶらふ ( 候ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 あり 」の〔丁寧〕版 ) →『 ございます 』 「 さうらふ,さぶらふ ( 候ふ ) 」[ ハ四 ]( 補助動詞〔丁寧〕 ) →『 ~ございます 』 「 さうらふ,さぶらふ ( 候ふ ) 」[ ハ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり」,「仕ふ 」の〔謙譲〕版 ) →『 お仕え申し上げる』,『参上する 』
【308】敬語表現⑧まぎらわしい表現「まゐる」「たてまつる」・・・
2013年7月16日火曜日【307】敬語表現⑦まぎらわしい表現「たまふ」「たまはす」「たまはる」「のたまふ」「せたまふ」・・・
2013年7月14日日曜日【306】敬語表現⑥ちょっと脱線話でも・・・・
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