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2013年7月4日木曜日

【305】敬語表現⑤二重尊敬,自敬表現,絶対敬語

【305】敬語表現⑤二重尊敬,自敬表現,絶対敬語

◎二重尊敬◎
助動詞【204】「る」「らる」編で
「る」,「らる」が〔尊敬〕のときは主語から判断するしかないが,「れ」+「給ふ」,「られ」+「給ふ」の「れ」「られ」は〔尊敬〕ではなく,この場合は〔受身〕か〔自発〕である。
という記述をしました。
また
助動詞【205】「す」「さす」「しむ」編で
「す」,「さす」の識別で,下に尊敬語(「給ふ」「おはします」「まします」「らる」)がないときは〔使役〕でよい。
「す」,「さす」の識別で下に尊敬語(「給ふ」「おはします」「まします」「らる」)があるときは〔使役〕か〔尊敬〕なので文脈判断する。
という記述をしました。

結論としていうならばこのうち最後のところの
(「す」の連用形),させ(「さす」の連用形),しめ(「しむ」の連用形)」+「給ふ,おはします,まします
(「す」の未然形),させ(「さす」の未然形),しめ(「しむ」の未然形)」+「らる
・・・の部分を文脈判断して〔尊敬〕となる場合を二重尊敬といいます。
この場合敬意の対象(主語)は天皇やそのファミリー,摂関家くらいの家柄の人が相場となります。
文法的に理詰めで結論づけると
「せたまふ」,「させたまふ」,「しめたまふ」,「せおはします」,「させおはします」,「しめおはします」,「せまします」,「させまします」,「しめまします」,「せらる」,「させらる」,「しめらる」という12種類の表現は二重尊敬になる場合もある(もちろんならない場合もある)。
ということになるのだけど,実際にでてくるのは
「せたまふ」,「させたまふ」,「しめたまふ」 程度を想定していていいと思われます。
あまり大きな声ではいえないけど
英語の文法→過去書かれた英語を解釈するためと,これから英語をつくるときの道しるべになるもの
・・・ということなので,いままでありえなかった表現でも文法上正しい表現ならば
今後出現する可能性はあるわけです。
英語じゃないけど脱線ついでに
「記憶にありません」という日本語表現は
1976年に日本中をさわがせたロッキード事件の国会においての証人喚問で某証人が尋問に対して答えたのが始まりだそうです。
またクリントン元米大統領の
「不適切な関係」
も同類といえるでしょう。

古文の文法→過去書かれた古文の解釈をするため・・・だけ
・・・・ということなので,実際にはありえなかった表現でも文法上は存在しうる場合もあるってことですね(笑)。あまり関係ないけど,助動詞の活用表で「○(空欄)」があるのは,ヒマな文法学者が過去の古文をすべて吟味して1回もでてこなかったから「○」なんだそうです(笑)。これから再調査して1回でもでてくればそれが訂正されることなのでしょう。

◎自敬表現◎
これはたいして難しい話ではありません。
例えばある日記の作者がたまたま天皇のそばにいて,天皇が
「わが言ふことを聞け」とおっしゃったとしましょう。
それを日記に記すときに,正しく表現するならば
帝のたまはく,わが言うことを聞け。
となるんだけど,さすがに天皇がおっしゃったことに「言う」なんて使えないな~なんて考えてしまい,
帝のたまはく,わがのたまふことを聞け
と日記には書いておこう!となってしまうわけです。
本来自分の動作を自分で言うとき自分を高める敬語なんて使わないのだけど
ついついそんな場合もあるという笑話なのですが
さて1000年も後の受験生だとここで困ったことがあります。
敬語は必ず「誰から誰への」敬意であるか吟味するのが受験生の義務(笑)であり
敬語とは必ず「話者から」の敬意であると頭に叩き込まれます。
・・・・とするとこの場合バカ正直に解釈すると天皇が「のたまふ」と言ったわけだから当然のことながらこの「のたまふ」「天皇から」の敬意となり,また「誰に対する」といえば「のたまふ」のは天皇自身なのだからこれもまた「天皇への」敬意となり,まとめると
この「のたまふ」天皇から天皇への敬意〔尊敬〕)である
ということになります。
「自分から自分への敬意」なのだから「自敬表現」とされています。
受験生としてはこのような場合は
「文法的には天皇から天皇への敬意,でもその奥底にはこの文を書いた人から天皇への隠れた敬意があるんだ!」
と理解しておきましょう。

◎絶対敬語◎
結論から言うと
「奏す」「奏上す」「奏聞す」とくれば必ず天皇に『申し上げる』,
「啓す」とくれば必ず中宮・皇太子に『申し上げる』
となります。
また
「行幸(みゆき)」とくれば必ず天皇の『おでかけ』,
「御幸(みゆき)」とくれば必ず上皇(法皇)の『おでかけ』,
「行啓(みゆき)」とくれば必ず中宮・皇太子の『おでかけ』,
「逆鱗(げきりん)」とくれば必ず天皇の『お怒り』,
「天気(てんき)」とくれば必ず天皇の『ご機嫌』
となります。
このように
敬意の対象が特に明記されていない場合でも,特定の敬語が用いられている場合その敬意の対象は絶対的に特定されるものを「絶対敬語」といいます。

「上皇」とは元天皇のこと。
昔は天皇が死亡しなくても他の者に譲位することは珍しくありませんでした。
ちょっと脱線すると
「上皇」になって再び天皇に返り咲いたツワモノもいて,(孝謙天皇→孝謙上皇→称徳天皇・女性です!),
この孝謙上皇時代の天皇は淳仁天皇でしたがこの淳仁天皇は「上皇」になってそのまま淡路島に配流されて「淡路廃帝」なんて汚名を着せられてしまいました。
「上皇」になってそれを不服としてそれが元で大戦争(→保元の乱~平治の乱~平氏の台頭~源氏の巻き返し~鎌倉幕府)になってしまった元天皇(崇徳天皇→崇徳上皇)もいました。
事実上「上皇」といってもいいのになぜか「天皇」のまま隠岐に配流され,その後もまた京都に戻ってきてそのとき即位していた別の天皇を追い出した天皇もいました。(後醍醐天皇,このとき新しく即位して追い出された天皇が光厳天皇で北朝初代天皇とされています),
昔の権力争いも相当なものだったわけです。
「法皇」とは「上皇」になって出家(仏門に入る)した元天皇のこと。
「中宮」とは天皇の妻たちのうち最上位の女性。
当時は中宮・女御・更衣などと一夫多妻が普通でした。「源氏物語」の光源氏は桐壷天皇と桐壷更衣の間にうまれた男子です。
「皇太子」とは天皇の子息で皇位継承予定の者。

敬語表現の文法的説明は以上で終了ですが
次回以降で「まぎらわしい表現」について掘り下げてお話をします。
これまでのことは「すべて理解して暗記してあたりまえ」の内容で
いわば土台作りです。ここからが本番だと思ってください。
それではご幸運をお祈りします。

【304】敬語表現④〔Cパターン〕敬語動詞で必ず覚えておくべきもの

【304】敬語表現④〔Cパターン〕敬語動詞で必ず覚えておくべきもの

◎ここまでの概略◎
動詞に敬意を付与するときは・・・・
①その動詞に助動詞「る」「らる」「す」「さす」「しむ」を付ける方法〔Aパターン〕→この場合は〔尊敬〕のみ
②その動詞に補助動詞を付ける方法〔Bパターン〕→〔謙譲〕〔尊敬〕〔丁寧〕すべて表現できる
③動詞そのものを敬意を含んだ別の動詞に置き換えてしまう方法〔Cパターン〕→ただし,「敬意を含んだ別の動詞」には限りがあるのでいつでもできるわけではない

・・・・という3パターンあるということ,
〔尊敬〕とは話者からその動作の主体(敬意を含む動詞の主語)への敬意を表し,
〔謙譲〕とは話者からその動作の客体(敬意を含む動詞の目的語)への敬意を表し,
〔丁寧〕とは話者からその文を読む者,あるいは聞く者への敬意を表す

ということを習いました。
簡単にいえば敬語の学習について理詰めで考えると以上だけなのですが,これを完全に理解した上でもさらに厄介なのが
①日本語表現は現代文にしろ古文にしろ,英語のように単語単語で切れていないから自分でどこまでがどの単語だかわからないといけない
②おなじ「たまふ」でも実は〔尊敬〕の補助動詞だったり(〔Bパターン〕),〔尊敬〕の〔Cパターン〕敬語動詞だったり,〔謙譲〕の〔Cパターン〕敬語動詞だったりすることがある
③〔Cパターン〕敬語動詞を1つ1つ覚えないといけない

というところでしょう。
ここではまず,〔Cパターン〕敬語動詞のうち絶対に覚えておかなければならないものを無条件で暗記しましょう。
なお,〔Cパターン〕敬語動詞は必ず敬意を付与していない元の動詞とセットで覚えるようにしましょう(例えば「おほとのごもる」は「寝(ぬ)」の〔尊敬〕版・・・という具合に)。

◎絶対覚えなければならない〔尊敬〕〔Cパターン〕敬語動詞◎

まずは下記のものはすべて暗記してください!!!

「 のたまふ(宣ふ) ( 宣ふ )」
[ ハ四 ](←「 言ふ 」の〔尊敬〕版)
→『 おっしゃる』,『(上位の第三者の言葉を)言い聞かせる 』

「 おはす ( 御座す )」
[ サ変 ](←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版)
→『 いらっしゃる』,『おいでになる 』

「 おはします ( 御座します )」
[ サ四 ](←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版)
→『 いらっしゃる』,『おいでになる 』

「 おぼす ( 思す )」
[ サ四 ](←「 思ふ 」の〔尊敬〕版)
→『 お思いになる 』

「 おぼしめす ( 思し召す )」
[ サ四 ](←「 思ふ 」の〔尊敬〕版)
→『 お思いになる 』

「 ごらんず ( 御覧ず )」
[ サ変 ](←「 見る 」の〔尊敬〕版)
→『 御覧になる 』

「 きこす ( 聞こす )」
[サ四 ](←「 聞く」,「言ふ 」の〔尊敬〕版)
→『 お聞きになる』,
→『おっしゃる 』 (『おっしゃる』は上代語)

「 きこしめす ( 聞こし召す )」
[ サ四 ](←「 聞く」,「聞き入る」,「治む」,「飲む・食ふ」 」の〔尊敬〕版)
→『 お聞きになる』,『お聞きいれなさる』,『感心をおもちになる』,『お治めになる』,『召し上がる 』

「 のたまふ ( 宣ふ )」
[ ハ四 ](←「 言う 」の〔尊敬〕版)
→『 おっしゃる』,
→『(上位の人,話し手,聞き手がいるとして,話し手が上位の人の言葉を聞き手に)言い聞かせる 』

「 たまふ ( 給ふ,賜ふ )」
[ ハ四 ](←「 与ふ 」の〔尊敬〕版)
→『 お与えになる,
→『(命令形にして)~しなさい 』

「 おほとのごもる ( 大殿籠る )」
[ ラ四 ](←「 寝(ぬ) 」の〔尊敬〕版)
→『 おやすみになる 』

◎絶対覚えなければならない〔謙譲〕〔Cパターン〕敬語動詞◎

まずは下記のものはすべて暗記してください!!!

「 うけたまはる ( 承る ) 」
[ ラ四 ]( ←「 受く」,「聞く 」の〔謙譲〕版 )
→『 いただく』,『うかがう』,『ご承諾申し上げる 』

「 まうす ( 申す ) 」
[ サ四 ]( ←「 言ふ」,「願ふ」,「す 」の〔謙譲〕版 )
→『 申し上げる』,『お願いする』,『(なにかを)してさしあげる 』

「 きこゆ ( 聞こゆ ) 」
[ ヤ下二 ]( ←「 言ふ」,「呼ぶ 」の〔謙譲〕版 )
→『 申し上げる』,『お呼びする』,『(手紙などをさしあげる 』
(この「聞こゆ」は現代の感覚からするとおよそ敬語表現にはみえないので要注意。
これに限らず,「聞」が関与する動詞や補助動詞はいろいろあるので注意。)

「 まゐる ( 参る ) 」
[ ラ四 ]( ←「 行く」,「来(く) 」の〔謙譲〕版 )
→『 参上する』,『参詣する』,『入内する 』

「 まうづ ( 参づ,詣づ ) 」
[ ダ下二 ]( ←「 行く 」の〔謙譲〕版 )
→『 参る』,『参上する』,『参詣する 』

「 まかる ( 罷る ) 」
[ ラ四 ]( ←「 行く」,「来(く) 」の〔謙譲〕版 )
→『 退出する 』

「 まかづ ( 罷づ ) 」
[ ダ下二 ]( ←「 行く」,「来(く) 」の〔謙譲〕版 )
→『 退出する 』

(偉い人のもとに近づくのが「まゐる」「まうづ」,遠ざかるのが「まかる」「まかづ」,
ついでにいえば古文の世界だとどちらにしろ「行く」でもあり「来(く)」でもあるので敬語とは関係ないけどご参考までに。)

「 たてまつる ( 奉る ) 」
[ ラ四,ラ下二 ]( ←「 与ふ」,「遣る 」の〔謙譲〕版 )
→『 差し上げる』,『参上する 』

「 たまはる ( 賜る ) 」
[ ラ四 ]( ←「 受く 」の〔謙譲〕版 )
→『 いただく 』

「いただく」」
[カ四](←「受く」の〔謙譲〕版)→『いただく』

「 つかうまつる ( 仕う奉る ) 」
[ ラ四 ]( ←「 仕ふ」,「す」,「行ふ」,「作る 」の〔謙譲〕版 )
→『 お仕えもうしあげる』,『(なにかを)して差し上げる 』

「 はべり ( 侍り ) 」
[ ラ変 ]( ←「 仕ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 おそばにいる』,『お仕えする 』

「 さうらふ,さぶらふ ( 候ふ ) 」
[ ハ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり」,「仕ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 お仕え申し上げる』,『参上する 』

「 そうす ( 奏す ) 」,「奏上す」,「奏聞す」
[ サ変 ]( ←「 言ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 (天皇・上皇・法皇に)申し上げる』,(敬語とは別に)『音楽を演奏する 』
(絶対敬語)

◎絶対覚えなければならない丁寧〔Cパターン〕敬語動詞◎

まずは下記のものはすべて暗記してください!!!

「 はべり ( 侍り ) 」
[ ラ変 ]( ←「 あり」,「居(を)り 」の〔丁寧〕版 )
→『 あります』,『ございます 』

「 さうらふ,さぶらふ ( 候ふ ) 」
[ ハ四 ]( ←「 あり 」の〔丁寧〕版 )
→『 ございます 』

2013年7月3日水曜日

【303】敬語表現③敬語の使い方・・・動詞になにか付けるか,動詞そのものを変えるか

【303】敬語の使い方・・・動詞になにか付けるか,動詞そのものを変えるか
◎敬語表現の3パターン◎
毎度おなじみ
太郎,花子に文渡す
という文について話者から太郎に対する敬意を加えようとすると,
動詞「渡す」に〔尊敬〕の意のある補助動詞「給ふ」を追加すればよいことはすでにやりました。
でも実は他にも方法はありまして・・・・
例えばすでに学習した〔尊敬〕の助動詞「る」「らる」「す」「さす」「しむ」を追加してもよいわけです。
またさらにいえば,動詞そのものを敬意を含んだ別の動詞に置き換える方法もあります。
まとめると
〔Aパターン〕動詞に補助動詞をつけくわえる
〔Bパターン〕動詞に助動詞をつけくわえる
〔Cパターン〕動詞そのものを敬意を含んだ別の動詞に置き換える

以上3パターンの表現方法があります。
もともとの動詞がどんなものでも〔Aパターン〕〔Bパターン〕の敬意表現は簡単につくることができますが,すべての動詞に敬意をこめた別の動詞が存在するわけではないので,〔Cパターン〕になるものは限られることになります。〔Cパターン〕になるときの敬意を含んだ敬語動詞は古語辞典あたりから拾っていくとそれだけでも200以上いきますが,まずは基本的なものを確実に覚えてください。具体的な例については後述します。

◎補助動詞にはなにがあるか?◎

〔Cパターン〕敬語動詞ほどじゃないけど〔Bパターン〕補助動詞もわりとあるのですが
まずは下記のものはすべて暗記してください!!!

◎ 「 たまふ ( 給ふ,賜ふ ) 」
[ ハ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 お~になる 』

◎ 「 おはす ( 御座す ) 」
[ サ変 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 ~でいらっしゃる 』

◎ 「 おはします ( 御座します ) 」
[ サ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕
→『 ~でいらっしゃる 』

◎ 「 たてまつる ( 奉る ) 」
[ ラ四 ]( 補助動詞〔謙譲〕
→『 ~申し上げる 』
(同じ謙譲の補助動詞に「聞こゆ」があるが,
『源氏物語』などでは、「奉る」は「見る」「聞く」「返す」「抱く」などの動作を表す動詞,助動詞「る」「らる」「す」「さす」「しむ」に付き,
「聞こゆ」は「思ふ」「恋ふ」などの精神活動を表す動詞に付く傾向があるといわれる)

◎ 「 まうす ( 申す ) 」
[ サ四 ]( 補助動詞〔謙譲〕
→『 ~申し上げる 』

◎ 「 きこゆ ( 聞こゆ ) 」
[ ヤ下二 ]( 補助動詞〔謙譲〕
→『 ~申し上げる 』

◎ 「 まゐらす ( 参らす ) 」
[ サ下二 ]( ←「 補助動詞〔謙譲〕
→『 ~申し上げる 』

◎ 「 はべり ( 侍り ) 」
[ ラ変 ]( 補助動詞〔丁寧〕
→『 ~ます』,『~でおります 』

◎ 「 さうらふ,さぶらふ ( 候ふ ) 」
[ ハ四 ]( 補助動詞〔丁寧〕
→『 ~ございます 』

◎助動詞にはなにがあるか?◎
「助動詞」編でも説明しましたが, 「る」「らる」「す」「さす」「しむ」のみですべて〔尊敬〕の意のものだけです。 実際の文章を読むと,助動詞一語だけの敬語表現は少なく他に補助動詞を伴ってより敬意を強めた形(二重敬語)になる場合が一般的です。これについては後述します。

2013年7月2日火曜日

【302】敬語表現②敬語の種類,誰から誰への敬意?

【302】敬語表現②敬語の種類,誰から誰への敬意?

◎敬語の種類◎
これはだれでも知っているでしょう。
〔尊敬〕
〔謙譲〕
〔丁寧〕
以上3種はだれでも知っていますが・・・さてここからが問題,そもそも〔尊敬〕だの〔謙譲〕だの〔丁寧〕だのって具体的にどういう定義分けするの?となるとかなり曖昧になってくる。ここではべつに難しい文法議論をするつもりはないので,この3種の意味あいの違いを次のように理解しましょう。

◎誰への敬意?◎
どんな敬語にも必ず,「誰から誰への敬意」かというものが内包されています。最初のうちはこれを丁寧に吟味することが敬語を理解する上で重要となります。最初のうちは面倒でもそれを怠らないでください。まずは「誰に」対する「敬意」かを考えてみましょう。
例えば次のような文があるとします。
①太郎,花子に文渡す。
②太郎,花子に文渡し給ふ。
③太郎,花子に文渡し奉る。
④太郎,花子に文渡し侍り。
詳しいことは後述するとしてここにある「給ふ」〔尊敬〕「奉る」〔謙譲〕「侍り」〔丁寧〕を意味する敬語(補助動詞)です。
①は「太郎は花子に手紙を渡す」,
②は「太郎は花子に手紙をお渡しになる」,
③は「太郎は花子に手紙を渡し申し上げる」,
④は「太郎は花子に手紙を渡します」とそれぞれ訳されます。

古文読解はとりあえず「訳」せればOKといえばそうなのだけど,これだけじゃなんかよくわかりませんね。そこで・・・
②~④に使われるそれぞれの敬語が「誰に」対する「敬意」かを考えてみると・・・
結論から言えば
②の「給ふ」太郎に対する敬意を表しており,
③の「奉る」花子に対する敬意を表しており,
④の「侍り」この文を読む読み手(聞き手)・・・つまり要するにここではこのブログを読むあなた自身に対する敬意を表しているわけです。
そして・・・
敬語とは人の動作を表す動詞につくもの(あるいは動詞そのもの)なわけですが,
②の場合手紙を書くのは「太郎」であり,「太郎」が「渡す」の主語で,
敬語表現を含む動詞の主体(主語)に対する敬意の場合,その敬語(ここでは「給ふ」)を〔尊敬〕語と呼び,

③の場合手紙を渡す相手は花子であり,花子がこの文の目的語で,
敬語表現を含む動詞の客体(目的語)に対する敬意の場合,その敬語(ここでは「奉る」)を〔謙譲〕語と呼び,

④のように
その文(あるいは言ったこと)を読む(あるいは聞く)相手に対する敬意の場合その敬語(ここでは「侍り」)を〔丁寧〕語と呼ぶ
わけです。
とりわけ,〔尊敬〕〔謙譲〕の違いをよく理解してください。

◎誰からの敬意?◎
これは一言で言えば簡単です。
敬語は常に「話者」からの敬意を表します。
②太郎,花子に文渡し給ふ。
③太郎,花子に文渡し奉る。
④太郎,花子に文渡し侍り。
⑤太郎が従者曰く,太郎,花子に文渡し給ふ。
当然ながら②の「給ふ」,③の「奉る」,④の「侍り」は私からの敬意となり,
⑤は「太郎,花子に文渡し給ふ。」と言った太郎の従者からの敬意となります。

◎誰から誰への敬意?◎
ここまでのことをまとめてみます。
②太郎,花子に文渡し給ふ。
③太郎,花子に文渡し奉る。
④太郎,花子に文渡し侍り。
⑤太郎が従者曰く,太郎,花子に文渡し給ふ。

②の「給ふ」は私から太郎への敬意
③の「奉る」は私から花子への敬意
④の「侍り」は私からあなた(読者のみなさま)への敬意
⑤の「給ふ」は太郎の従者から太郎への敬意
を表しています。

◎ミックス補助動詞敬語は〔謙譲〕〔尊敬〕〔丁寧〕の順番で!◎
もしも源氏物語に
光源氏,紫の上にラブレター渡し給ひ侍り。
なんて表現があったとして大学入試で「この文の『給ひ』,『侍り』は誰から誰への敬意か?」なんて問題が出題されてそこには1000人の受験生が悪戦苦闘していたとします(ありえないだろうけど,勉強は面白くしないと!)。
この場合
⑥光源氏,紫の上にラブレター渡し給ふ。
⑦光源氏,紫の上にラブレター渡し侍り。
・・・の2つの文に分けて考えることになります。
⑥の「給ふ」は当然のことながら源氏物語の作者である紫式部から光源氏への敬意となり,
⑦の「侍り」は同じく紫式部から読者(つまりはそこで悪戦苦闘している1000人の受験生たちを含みます)への敬意(!)ということになります。
少し脱線したけど,「渡し給ふ」と「渡し侍り」をミックスして「渡し給ひ侍り」なんていう場合もある(というかむしろそういう場合のほうが多い)ことをここではお話しますが・・・・
最初の太郎と花子の例をとると
②と③をまとめると
⑧太郎,花子に文渡し奉り給ふ。
となりこの場合「渡し給ひ奉る」とは絶対になりません。
②と④をまとめると
⑨太郎,花子に文渡し給ひ侍り。
となりこの場合「渡し侍り給ふ」とは絶対になりません。
③と④をまとめると
⑩太郎,花子に文渡し奉り侍り。
となりこの場合「渡し侍り奉る」とは絶対になりません。
②と③と④を全部まとめると
⑪太郎,花子に文渡し奉り給ひ侍り。
このように1つの動詞に複数の敬意を表す補助動詞をつける場合その順番は必ず
〔謙譲〕〔尊敬〕〔丁寧〕
の順番となります。

2013年6月25日火曜日

【101】動詞の活用の種類(カ変・サ変・ナ変・ラ変)

【101】動詞の活用の種類(カ変・サ変・ナ変・ラ変)
無条件で暗記すること
カ変動詞→「来(く)」
サ変動詞→「す」のみ,但し「○○す」といった派生語あり→「奏す」「おはす」「念ず」「案ず」など
ナ変動詞→「死ぬ」,「往ぬ(いぬ」
ラ変動詞→「あり」,「おり」,「侍り(はべり)」,「いまそがり」
来(く)→カ変
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
くる くれ こよ
す→サ変
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
する すれ せよ
死ぬ→ナ変
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
死(し) ぬる ぬれ
往ぬ(いぬ)→ナ変
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
往(い) ぬる ぬれ
あり→ラ変
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
おり→ラ変
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
侍り(はべり)→ラ変
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
侍(はべ)
いまそがり→ラ変
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
いまそが

【102】動詞の活用の種類(下一段・上一段)

【102】動詞の活用の種類(下一段・上一段)
下一段→「蹴る(ける)」
蹴る(ける)→カ行下一段
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
ける ける けれ けよ
上一段→「きる」,「みる」,「にる」,「いる」,「ゐる」,「ひる」を「きみにいゐひ る」なんて覚えるが,きちんと漢字を当てはめて覚えること。なぜなら同じ「きる」でも「着る」ならばカ行上一段だが,「切る」だとラ行四段になるからである。
「いる」ならばヤ行上一段,「ゐる」ならばワ行上一段,ア行上一段は存在しない。
◎「きる」について
着る→カ行上一段
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
きる きる きれ きよ
うちきる『身にまとう,着る,かぶる』→カ行上一段
切る→ラ行四段
霧る(きる)『霧やかすみがたちこめる,目が涙でかすんでみえない』→ラ行四段
鑽る(きる)『火をおこす』→ラ行四段
※「着る」「うちきる」及び上記以外の「きる」,「~きる」という動詞はすべてラ行四段,ラ行下二段のいずれかである
◎「みる」について
見る→マ行上一段
語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
みる みる みれ みよ
※「見る」以外の「~みる」という動詞はすべてマ行上一段
◎「にる」について
似る→ナ行上一段
※「似る」以外の「にる」「~にる」という動詞は存在しない。
◎「いる」について
射る(いる)→ヤ行上一段
鋳る(いる)『鋳造する』→ヤ行上一段
沃る(いる)『~をそそぐ,~を浴びせる』→ヤ行上一段
煎る(いる)『煮つめる』→ラ行四段
炒る(いる)→ラ行四段
入る(いる)→ラ行四段
※上記以外と「~いる」という動詞はすべてラ行四段,ラ行下二段のいずれかである
◎「ゐる」について
率る(ゐる)→ワ行上一段
率ゐる→ワ行上一段
※上記以外及び「まゐる」以外の「~ゐる」という動詞はすべてワ行上一段
◎「ひる」について
干る→ハ行上一段
はなひる,嚔る(ひる)『くしゃみをする』→ハ行上一段
簸る(ひる)『(穀物などを)箕でふるいわける』→ハ行上一段
※上記以外の「ひる」「~ひる」という動詞は存在しない

【201】助動詞①「き」「けり」

【201】助動詞①「き」「けり」
「き」
未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 接続 意味
しか 連用形 〔直接過去〕
「けり」
未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 接続 意味
けら けり ける けれ 連用形 〔伝聞過去〕 〔詠嘆〕
訳し方の基本:「き」→『~した』『~た』〔過去〕
訳し方の基本:「けり」→『~しただろう』『~ただろう』〔過去〕,『~たなあ』『~たことだ』〔詠嘆〕
「き」は自分が経験した過去,「けり」は他人が経験した過去→つまり伝聞
「けり」には〔過去〕以外に〔詠嘆〕の意味もあるので注意
〔断定〕の助動詞「なり」について「なりけり」ときた場合の「けり」→〔詠嘆〕と考えてよい
〔推量〕の助動詞「べし」について「べかりけり」ときた場合の「けり」→〔詠嘆〕と考えてよい
和歌の中で用いられる「けり」→〔詠嘆〕と考えてよい
会話文中の「けり」→〔詠嘆〕と考えてよい