【303】敬語の使い方・・・動詞になにか付けるか,動詞そのものを変えるか |
◎敬語表現の3パターン◎ |
毎度おなじみ
太郎,花子に文渡す という文について話者から太郎に対する敬意を加えようとすると, 動詞「渡す」に〔尊敬〕の意のある補助動詞「給ふ」を追加すればよいことはすでにやりました。 |
でも実は他にも方法はありまして・・・・
例えばすでに学習した〔尊敬〕の助動詞「る」「らる」「す」「さす」「しむ」を追加してもよいわけです。 またさらにいえば,動詞そのものを敬意を含んだ別の動詞に置き換える方法もあります。 まとめると 〔Aパターン〕動詞に補助動詞をつけくわえる 〔Bパターン〕動詞に助動詞をつけくわえる 〔Cパターン〕動詞そのものを敬意を含んだ別の動詞に置き換える 以上3パターンの表現方法があります。 もともとの動詞がどんなものでも〔Aパターン〕と〔Bパターン〕の敬意表現は簡単につくることができますが,すべての動詞に敬意をこめた別の動詞が存在するわけではないので,〔Cパターン〕になるものは限られることになります。〔Cパターン〕になるときの敬意を含んだ敬語動詞は古語辞典あたりから拾っていくとそれだけでも200以上いきますが,まずは基本的なものを確実に覚えてください。具体的な例については後述します。 |
◎補助動詞にはなにがあるか?◎ |
〔Cパターン〕敬語動詞ほどじゃないけど〔Bパターン〕補助動詞もわりとあるのですが |
まずは下記のものはすべて暗記してください!!! |
◎ 「 たまふ ( 給ふ,賜ふ ) 」 [ ハ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 お~になる 』 ◎ 「 おはす ( 御座す ) 」 [ サ変 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 ~でいらっしゃる 』 ◎ 「 おはします ( 御座します ) 」 [ サ四 ]( 補助動詞〔尊敬〕 ) →『 ~でいらっしゃる 』 ◎ 「 たてまつる ( 奉る ) 」 [ ラ四 ]( 補助動詞〔謙譲〕 ) →『 ~申し上げる 』 (同じ謙譲の補助動詞に「聞こゆ」があるが, 『源氏物語』などでは、「奉る」は「見る」「聞く」「返す」「抱く」などの動作を表す動詞,助動詞「る」「らる」「す」「さす」「しむ」に付き, 「聞こゆ」は「思ふ」「恋ふ」などの精神活動を表す動詞に付く傾向があるといわれる) ◎ 「 まうす ( 申す ) 」 [ サ四 ]( 補助動詞〔謙譲〕 ) →『 ~申し上げる 』 ◎ 「 きこゆ ( 聞こゆ ) 」 [ ヤ下二 ]( 補助動詞〔謙譲〕 ) →『 ~申し上げる 』 ◎ 「 まゐらす ( 参らす ) 」 [ サ下二 ]( ←「 補助動詞〔謙譲〕 ) →『 ~申し上げる 』 ◎ 「 はべり ( 侍り ) 」 [ ラ変 ]( 補助動詞〔丁寧〕 ) →『 ~ます』,『~でおります 』 ◎ 「 さうらふ,さぶらふ ( 候ふ ) 」 [ ハ四 ]( 補助動詞〔丁寧〕 ) →『 ~ございます 』 |
◎助動詞にはなにがあるか?◎ |
「助動詞」編でも説明しましたが, 「る」「らる」「す」「さす」「しむ」のみですべて〔尊敬〕の意のものだけです。 実際の文章を読むと,助動詞一語だけの敬語表現は少なく他に補助動詞を伴ってより敬意を強めた形(二重敬語)になる場合が一般的です。これについては後述します。 |
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