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2013年7月4日木曜日

【304】敬語表現④〔Cパターン〕敬語動詞で必ず覚えておくべきもの

【304】敬語表現④〔Cパターン〕敬語動詞で必ず覚えておくべきもの

◎ここまでの概略◎
動詞に敬意を付与するときは・・・・
①その動詞に助動詞「る」「らる」「す」「さす」「しむ」を付ける方法〔Aパターン〕→この場合は〔尊敬〕のみ
②その動詞に補助動詞を付ける方法〔Bパターン〕→〔謙譲〕〔尊敬〕〔丁寧〕すべて表現できる
③動詞そのものを敬意を含んだ別の動詞に置き換えてしまう方法〔Cパターン〕→ただし,「敬意を含んだ別の動詞」には限りがあるのでいつでもできるわけではない

・・・・という3パターンあるということ,
〔尊敬〕とは話者からその動作の主体(敬意を含む動詞の主語)への敬意を表し,
〔謙譲〕とは話者からその動作の客体(敬意を含む動詞の目的語)への敬意を表し,
〔丁寧〕とは話者からその文を読む者,あるいは聞く者への敬意を表す

ということを習いました。
簡単にいえば敬語の学習について理詰めで考えると以上だけなのですが,これを完全に理解した上でもさらに厄介なのが
①日本語表現は現代文にしろ古文にしろ,英語のように単語単語で切れていないから自分でどこまでがどの単語だかわからないといけない
②おなじ「たまふ」でも実は〔尊敬〕の補助動詞だったり(〔Bパターン〕),〔尊敬〕の〔Cパターン〕敬語動詞だったり,〔謙譲〕の〔Cパターン〕敬語動詞だったりすることがある
③〔Cパターン〕敬語動詞を1つ1つ覚えないといけない

というところでしょう。
ここではまず,〔Cパターン〕敬語動詞のうち絶対に覚えておかなければならないものを無条件で暗記しましょう。
なお,〔Cパターン〕敬語動詞は必ず敬意を付与していない元の動詞とセットで覚えるようにしましょう(例えば「おほとのごもる」は「寝(ぬ)」の〔尊敬〕版・・・という具合に)。

◎絶対覚えなければならない〔尊敬〕〔Cパターン〕敬語動詞◎

まずは下記のものはすべて暗記してください!!!

「 のたまふ(宣ふ) ( 宣ふ )」
[ ハ四 ](←「 言ふ 」の〔尊敬〕版)
→『 おっしゃる』,『(上位の第三者の言葉を)言い聞かせる 』

「 おはす ( 御座す )」
[ サ変 ](←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版)
→『 いらっしゃる』,『おいでになる 』

「 おはします ( 御座します )」
[ サ四 ](←「 行く」,「来(く)」,「あり 」の〔尊敬〕版)
→『 いらっしゃる』,『おいでになる 』

「 おぼす ( 思す )」
[ サ四 ](←「 思ふ 」の〔尊敬〕版)
→『 お思いになる 』

「 おぼしめす ( 思し召す )」
[ サ四 ](←「 思ふ 」の〔尊敬〕版)
→『 お思いになる 』

「 ごらんず ( 御覧ず )」
[ サ変 ](←「 見る 」の〔尊敬〕版)
→『 御覧になる 』

「 きこす ( 聞こす )」
[サ四 ](←「 聞く」,「言ふ 」の〔尊敬〕版)
→『 お聞きになる』,
→『おっしゃる 』 (『おっしゃる』は上代語)

「 きこしめす ( 聞こし召す )」
[ サ四 ](←「 聞く」,「聞き入る」,「治む」,「飲む・食ふ」 」の〔尊敬〕版)
→『 お聞きになる』,『お聞きいれなさる』,『感心をおもちになる』,『お治めになる』,『召し上がる 』

「 のたまふ ( 宣ふ )」
[ ハ四 ](←「 言う 」の〔尊敬〕版)
→『 おっしゃる』,
→『(上位の人,話し手,聞き手がいるとして,話し手が上位の人の言葉を聞き手に)言い聞かせる 』

「 たまふ ( 給ふ,賜ふ )」
[ ハ四 ](←「 与ふ 」の〔尊敬〕版)
→『 お与えになる,
→『(命令形にして)~しなさい 』

「 おほとのごもる ( 大殿籠る )」
[ ラ四 ](←「 寝(ぬ) 」の〔尊敬〕版)
→『 おやすみになる 』

◎絶対覚えなければならない〔謙譲〕〔Cパターン〕敬語動詞◎

まずは下記のものはすべて暗記してください!!!

「 うけたまはる ( 承る ) 」
[ ラ四 ]( ←「 受く」,「聞く 」の〔謙譲〕版 )
→『 いただく』,『うかがう』,『ご承諾申し上げる 』

「 まうす ( 申す ) 」
[ サ四 ]( ←「 言ふ」,「願ふ」,「す 」の〔謙譲〕版 )
→『 申し上げる』,『お願いする』,『(なにかを)してさしあげる 』

「 きこゆ ( 聞こゆ ) 」
[ ヤ下二 ]( ←「 言ふ」,「呼ぶ 」の〔謙譲〕版 )
→『 申し上げる』,『お呼びする』,『(手紙などをさしあげる 』
(この「聞こゆ」は現代の感覚からするとおよそ敬語表現にはみえないので要注意。
これに限らず,「聞」が関与する動詞や補助動詞はいろいろあるので注意。)

「 まゐる ( 参る ) 」
[ ラ四 ]( ←「 行く」,「来(く) 」の〔謙譲〕版 )
→『 参上する』,『参詣する』,『入内する 』

「 まうづ ( 参づ,詣づ ) 」
[ ダ下二 ]( ←「 行く 」の〔謙譲〕版 )
→『 参る』,『参上する』,『参詣する 』

「 まかる ( 罷る ) 」
[ ラ四 ]( ←「 行く」,「来(く) 」の〔謙譲〕版 )
→『 退出する 』

「 まかづ ( 罷づ ) 」
[ ダ下二 ]( ←「 行く」,「来(く) 」の〔謙譲〕版 )
→『 退出する 』

(偉い人のもとに近づくのが「まゐる」「まうづ」,遠ざかるのが「まかる」「まかづ」,
ついでにいえば古文の世界だとどちらにしろ「行く」でもあり「来(く)」でもあるので敬語とは関係ないけどご参考までに。)

「 たてまつる ( 奉る ) 」
[ ラ四,ラ下二 ]( ←「 与ふ」,「遣る 」の〔謙譲〕版 )
→『 差し上げる』,『参上する 』

「 たまはる ( 賜る ) 」
[ ラ四 ]( ←「 受く 」の〔謙譲〕版 )
→『 いただく 』

「いただく」」
[カ四](←「受く」の〔謙譲〕版)→『いただく』

「 つかうまつる ( 仕う奉る ) 」
[ ラ四 ]( ←「 仕ふ」,「す」,「行ふ」,「作る 」の〔謙譲〕版 )
→『 お仕えもうしあげる』,『(なにかを)して差し上げる 』

「 はべり ( 侍り ) 」
[ ラ変 ]( ←「 仕ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 おそばにいる』,『お仕えする 』

「 さうらふ,さぶらふ ( 候ふ ) 」
[ ハ四 ]( ←「 行く」,「来(く)」,「あり」,「仕ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 お仕え申し上げる』,『参上する 』

「 そうす ( 奏す ) 」,「奏上す」,「奏聞す」
[ サ変 ]( ←「 言ふ 」の〔謙譲〕版 )
→『 (天皇・上皇・法皇に)申し上げる』,(敬語とは別に)『音楽を演奏する 』
(絶対敬語)

◎絶対覚えなければならない丁寧〔Cパターン〕敬語動詞◎

まずは下記のものはすべて暗記してください!!!

「 はべり ( 侍り ) 」
[ ラ変 ]( ←「 あり」,「居(を)り 」の〔丁寧〕版 )
→『 あります』,『ございます 』

「 さうらふ,さぶらふ ( 候ふ ) 」
[ ハ四 ]( ←「 あり 」の〔丁寧〕版 )
→『 ございます 』

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